その中から、今回テッカブルがご紹介するのが、この「nearMe.」。タクシーを使った、国内ではレアな相乗りアプリだ。同じ方向へ行きたい人同士をマッチングしつつ、交通費を抑えるという利点を持つ。
新たに“予約機能”も追加され、ますます勢いに乗る本サービス。提供元は、昨年夏に設立されたばかりのNearMe.社。代表取締役社長の髙原 幸一郎(たかはら こういちろう)氏に、話を聞いた。
・予約機能で時間の幅とマッチング率をアップ
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。住んでいる地域の高齢化を感じるとともに、近い将来、郊外や地方のモビリティがますます深刻になる、と実感していました。
普段の生活でも、終電後や悪天候などで、電車が利用できないと、タクシー待ち行列で、移動難民が発生します。同じ方向の人がいると思いながら、乗るのはだいたい1台に1人だけ。そういった原体験から、テクノロジーを活用し、この社会問題と非効率の解決に、取り組みたく起業しました。
Uberなどのライドシェアが世界中で広がっていますが、日本には白タクより、タクシーの利便性を高める、日本らしいやり方があると思います。そこで、タクシーの相乗りサービスを、展開することにしたのです。
Q2:予約機能が付くことで、サービスはどのように変わるのでしょうか。
これまでは、“今”利用したい場合のみ、相乗り相手とマッチングしてきました。予約機能を利用すれば、時間の幅を広げられますし、マッチング率もアップします。
予約開始時間になると、システムが自動で相乗り候補者を探します。マッチした際は、自動通知してくれるため、本サービスをより便利に、利用することができます。
・日本人の多くは毎日“相乗り”している
Q3:サービス構築にあたって、最も苦労したのは、どのようなところでしょうか。日本では新しいサービスのため、UX/UIのデザインと、それを支えるシステム基盤の構築が、容易ではありませんでした。
そのため、事前に十分な調査を行い、サービス内容の詳細を検討しました。海外経験豊富なメンバーの協力と技術力もあって、開発開始から約3か月半で、アプリをリリースすることができました。
Q4:韓国などでは、当たり前のように普及しているタクシーの相乗りですが、国民性を考えると、日本ではなかなか浸透しづらい状況にあるのでは、と思われます。サービス普及のために、どのような施策を打っていかれるのでしょうか。今後の展望について、お聞かせください。
そもそも、(これまでに)ないサービスなので、国民性かどうかの断定は、難しいように思いますが、実は日本人の多くは、毎日“相乗り”しているのです。電車やバスは相乗りですし、通勤ラッシュのときに、知らない人が接近していても、耐えられる国民です。タクシーの相乗りは、それよりもパーソナルスペースがありますし、ドライバーはプロです。車内には、第三者の目もありますので、大半は“慣れ”の問題ではないか、と思います。
(今後の展開としては)ユーザー体験のデザインと改善、クレジット決済、問題が発生したときに通報できるようにするなど、さまざまな施策を通して、安心して利用できるサービスの普及を、めざしていきます。
降車場所を自宅以外に指定したり、ルートや割り勘の金額も事前にわかるようにするなど、ユーザーの不安を払拭する施策を講じていくとのこと。終電後はもちろん、レジャー時にも大いに役立ちそうだ。新時代のシェアリングサービスとして、積極的に利用してほしい。(取材・文 乾 雅美)
nearMe.