・熟したイチゴの実を自動で選び出し、収穫するロボット
イチゴの実は、繊細で傷がつきやすい上、形や大きさなどにばらつきがあり、枝葉に隠れているケースも多いため、熟した実を検知し、傷つけることなく摘むまでの一連のプロセスを自動化するのは至難の業。「Tiptree」では、作業員がひとつひとつ、イチゴの熟度や大きさ、病気の有無などを確認しながら、毎年、10億粒を収穫している。
エセックス大学の研究チームは、現在、低い位置に実をつける品種を用い、熟したイチゴの実を自動で選び出して収穫するロボットの開発をすすめており、その試作機がいよいよ数ヶ月以内に完成する見込み。
将来的には、ヒトが実を収穫する手順を忠実に再現するロボットアームと、枝葉の間にある実を見つけ出すビジョンセンサーの開発にも着手する方針だ。
・EU離脱後の英国の労働者不足を解消するソリューションに!?
英国の業界団体「British Summer Fruits」によると、英国では、イチゴをはじめとするソフトフルーツ(柔らかい果物)の生産量が過去20年間で31%増加。これまで、収穫期には年間約2万9000人の季節労働者が作業に従事してきたが、そのうちの95%は、ポーランドやブルガリアなど、EU(欧州連合)域内からの労働者であり、英国では、2019年3月に予定されているEUからの離脱によって、労働者不足が深刻な課題となっている。
現在、開発がすすめられているイチゴの自動収穫ロボットは、労働者不足を解消するソリューションとしても、大いに期待が寄せられている。(文 松岡由希子)
University of Essex