先陣を切ったのは、米国軍。先月末、陸軍基地内の敷地に3D印刷による兵舎を建設。わずか40時間で、46平方メートルの建物を築き上げた。軍用の施設としての3Dプリント建設は、これが世界初となる。
・ロボットがあれば作業時間はさらに短縮
このプロジェクトは、海兵隊システムコマンド(MCSC)の主導の下、現役海兵隊員の手で実施された。作業の手順は、次のとおり。まず、コンクリート3Dプリンターのプリントヘッドにコンクリートを流し込み、繰り返し積み上げて、壁の層を作り上げる。それがどんどん重なっていくと、あらかじめプログラミングしておいた設計モデルの形に形成されていく。兵舎表面に施した波状のファザードは、あとから印刷機で、コンクリート層の上に追加したもの。砂浜のような縞模様が、無機質な質感を和らげている。40時間かかった理由は、プリントヘッドをコンクリートで、常時満たさなければならなかったから。ミキシングとポンピングを担当するロボットがあれば、24時間で建設可能だ。
・将来は兵士のスキルになる!?
軍の上層部は、これは実質的な訓練の意味を持つと、コメント。プロジェクトの司令官マシュー・フリーデル大尉は、次のように語っている。「実際の戦闘環境で(兵舎を建てるために)兵士がハンマー片手に、合板を組み立てることはできない。オンデマンドで建造できる3Dプリンターは、海兵隊にとっても、大きなメリットとなる」。木造の兵舎を建設するには、通常、海兵隊員10人を必要とし、作業完了までに5日を要する。一方、今回のプロジェクトの人員は、たった4人。しかも、2日間で、強力な建造物が構築できることを証明した。
同氏はまた、この技術は人道支援や災害救助時のコミュニティ構築に、大いに役立つ可能性がある、とも述べている。
担当チームは今後も、3Dプリント建築のテストを行う予定。将来的には海兵隊員のスキルの1つとして、身に付くようにしたい、と考えている。
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