10代の女性は興味関心を抱くトレンドの移り変わりが早く、ティーンに受け入れられるコンテンツは何かと悩んでしまうこともあると思う。今回はスマホネイティブ世代の流行をウォッチし、コミュニティサイトを運営しているGMOメディア株式会社 メディア事業部コミュニティグループリーダーの鈴木氏に話を伺った。
女子中高生同士が交流できるプラットフォーム
Q1.プリキャンのサービス内容について教えてください。
”女の子のためのHappyのカタチ”というコンセプトのもと、画像共有サービス、小説サービスなどを運営しております。中でも「プリ画像」は、中高生に人気の”写真と画像を通じたコミュニケーションサービス”として多くの女子中高生に使っていただいています。「プリ画像」アプリを通じて画像を探しに訪れる人と、絵を描いたり、画像を加工して発信したいという人が、お互いの目的を果たせるようなプラットフォームとして運営をしております。
Q2.コミュニティサイトを立ち上げようとした背景を教えてください。
元々は、ガラケー全盛期の2006年に女子大生向けのホームページ製作サービス「プリキャン革命」としてサービスを立ち上げたのがプリ画像の前身となっています。いくつかコンテンツがあったのですが、中でも画像コンテンツにたくさんの人が集まっていることを当時の開発者が発見し、サービスを切り出して運営をはじめました。コミュニティ機能を追加したのは、「プリ画像」のアプリをリリースした2014年です。画像を提供する絵師さんへの感謝の気持ち、同じ趣味を持つ同世代の女の子と会話ができるなど、アプリ内でユーザーが交流する仕組みを取り入れたことで、日々の利用者数が伸びました。
シェアネイティヴ世代に受け入れられるコンテンツとは
Q3.どのようなコンテンツがシェアネイティヴ世代に受け入れられるのでしょうか。
弊社のサービスが10代女性に受け入れられている理由として、2つ挙げられると考えています。1つは、10代女性の文化の受け皿となるプラットフォームを提供すること。もう1つは彼女たちの視点でサービスを作ること。「プリ画像」を例に挙げると、10代女性たちによって投稿される画像は、同世代の女子たちのニーズ(加工用の素材や好きなものの画像)をしっかり満たしており、ユーザー間で需要と供給が完結するプラットフォームとなっています。またサービス内では、彼女たちの独自のルール、文化が育まれており、大人たちが変に介入するよりも居心地のいい空間が実現できていると考えています。彼女たちが自由にコンテンツをつくり、大人は彼女たちが快適に過ごせる空間をつくる、それが彼女たちの世代に受け入れられるコンテンツを作るための要素ではないかと思います。さらに、日々トレンドが変わる状況をしっかりとウォッチするために、社内に10代女性の日常生活リサーチするプリキャンティーンズラボという調査機関も置いていて、10代の女性のリアルな声を日々キャッチアップしています。
Q4.これからの時代、10代女性がハマるサービスとはどのようなものだと思いますか?
コンテンツをつくるのはあくまでもユーザーという観点のもと、彼女たちが安全に楽しく盛り上がることができる場を提供するのは大前提です。さらに、彼女たちがハマるサービスの共通項として、以下の2点が考えられるのではないでしょうか。1つは、10代女性の高い承認欲求を満たせるサービスであること。もう1つはTwitterやInstagramといったSNSでシェアしやすいコンテンツです。例えば女子高生の間で昨年から流行している「Tik Tok」というアプリは、運営から用意された曲・決められたダンスの中で、個性的で面白い動画を作ったユーザーがいいねやコメントといった称賛を受け、ピックアップされる仕様となっています。同じ曲とダンスの中でどれだけオリジナリティを発揮できるか、という点が彼女たちの創作意欲を刺激し、サービスへの熱量が生まれます。またその熱量が、TwitterといったSNSでの拡散を生み出す原動力にもなっているのではないでしょうか。彼女たちは、「面白い動画が撮れた!自分の動画を沢山の人に見てほしい!」という承認欲求からサービスだけにとどまらず、拡散性の高いSNSへの投稿も行っているのではないかと思います。シェアネイティブ世代にとって、自分のつくったコンテンツを1つのサービスに留まらず、複数サービスに拡散するのは自然な行動。サービスを創る際も、自社のサービス内だけで完結しない、複数の世界観をまたがって面白いと思ってもらえる要素作りが必要だと思っています。
Q5.プリキャンの今後の展望について教えてください。
「プリ画像」を使っているユーザーの創作意欲をさらに後押しするために「プリ小説」というチャット型小説サービスを2017年から立ち上げました。10代女性の視点でストーリー作りを楽しみ、物語の中に自然と没入できるよう、小説の中では自分の名前・任意の名前を登録できるような作りになっています。物語の中で自分の名前が呼ばれることで、自分もストーリーの主人公になっているかのような錯覚を味わうことができる点が、ユーザーにも大変好評です。小説サービスだけでなく、今後も10代の女の子をターゲットに、Happyを提供できるプラットフォームを作っていきたいと思います。
プリキャンbyGMOのコミュニティ運営は、シェアネイティヴ世代が興味関心を持つ要素をしっかりと抑えつつサービス提供している。ティーン向け施策を考える上でとても参考になる事例なので、参考にしてみてはいかがだろうか。
https://prican.jp/