カリブ海周辺の海域で、サンゴ礁の脅威となっているのは、ライオンフィッシュ(ミノカサゴ)だ。愛らしい外見と裏腹に繁殖力が強く、旺盛な食欲で在来種や稚魚を食いつくす。この恐るべき“侵略者”を打ち負かそうと立ち上がったのが、ウスター工科大学(Worcester Polytechnic Institute、WPI)の学生たち。1年前からチームを結成し、ライオンフィッシュを自動捕獲する、ロボットの開発に臨んでいる。
・95パーセント以上の精度でターゲットを認識
ロボットは、人工知能によって稼働。学生が撮影した多彩な色のライオンフィッシュの写真をロボットに記憶させ、95パーセント以上の精度でターゲットを認識するよう、膨大なトレーニングを積んだ。腐食性の高い塩水からマザーボードや電子機器を守るため、内部は水密設計が施されている。捕獲は、本体に内蔵された8本の槍で実行。まず、電動機構で槍の先端を魚の体に押し込む。シャフトが後退すると、槍の先端が魚の体内に残り、カルーセル(回転軸)が動く仕組みだ。
・開発は第2段階へ突入
最初の1年は、ロボットが他の在来種とライオンフィッシュを区別して、捕獲用の槍を出すことに費やされた。誤って保護対象のサンゴ礁を傷つけたり、人間のダイバーを、攻撃しないようにするためだ。チームの次の目標は、グローバルナビゲーションの製作。これを取り付けることで、ライオンフィッシュを探す際、3次元探索グリッドを自律的に確立。人間の力を借りずに、ナビゲートできるようになるのだとか。
このプロジェクトの素晴らしさは、単なるサンゴ礁保護に留まらないところにある。学生たち自身が地球環境に目を向け、問題解決に取り組む姿勢を重視している。指導にあたったロボティクスリソースセンター教授ケネス・スタッフォード氏は、こう語る。「私たちの任務は、グローバルな問題に取り組む自信と能力を備えた学生を育成すること。自ら考える力を引き出し、解決策を見出すよう導くことだ」。
souce by popularmechanics.com