・貼り付けるだけであらゆる物体をIoTデバイスに
紙のように薄く柔軟性のある基板に銅はくで模様が印刷された「LiveTag」は、WiFi対応デバイスからの無線信号に反応する“ミラー”のような役割を果たし、ユーザーのタッチ操作を遠隔で感知させる仕組み。バッテリーやシリコンチップ、電気部品は必要なく、それゆえ、バッテリー交換や電気回路の修理など、メンテナンスが不要なのも利点だ。
素材や模様を変えれば、BluetoothやLTEなど、他の通信方式にも応用できる。研究チームでは、実証実験として、「LiveTag」を用いた薄型の音楽再生用リモートコントローラーを製作。
「再生」「停止」「次曲に移動」という3種類の操作ボタンと、音量を調整するスライドバーにそれぞれ「LiveTag」の金属タグを割り当てた。
指がいずれかに触れると、WiFi対応デバイスに信号が送られ、遠隔操作によって、音楽が再生できたという。
・量産化に向けた新たな印刷手法の開発にも着手へ
「LiveTag」がWiFi対応デバイスを検知できる距離は、現時点では1メートル程度。研究チームでは、今後、タグの感度や検知エリアの向上に取り組むとともに、低コストで量産できるよう、一般的な紙やインクを使った「LiveTag」の印刷手法の開発にも着手する方針だ。(文 松岡由希子)
UC San Diego