そうした恐れをVR(仮想現実)で緩和するプログラムが、オクスフォード大学のスピンアウト会社Oxford VRにより開発された。研究論文によると、被験者の4分の3以上が症状を緩和できたという。
・吊り橋渡りをVR体験
このプログラムはVRを使った心理学的セラピー。音声認識なども使いながら個人の恐怖症の度合いに合わせたコーチングなどを行う。具体的には、ヘッドセットやグローブを装着して、VRの世界でぐらぐらする吊り橋を歩いて渡ったり、木の枝先にいるネコを救出したりという作業をしてもらうというものだ。
・2時間のセッションを5回
実験は、高所恐怖症を持つ100人を対象に、セラピーを受けるグループとそうでないグループに分けて行われた。被験者は平均30年以上、高所恐怖症を抱える人たちで、セラピーありのグループには平均2時間のセッションを5回受けてもらった。
その結果、セラピーを受けた被験者全員に症状の軽減が見られ、平均68%症状を抑制できたという。
研究チームは「このセラピーは大規模展開することが可能で、他のメンタルヘルス疾患への応用も考えられる」としている。
研究論文は学術専門誌The Lancetに掲載された。
Oxford VR