「Merah Putih」は、広域の通信範囲を保ったまま、大容量データ通信を可能にする新技術を搭載している。設計したのはカリフォルニア州パロアルトに本拠を置く宇宙船製造会社、SSL。
これ以外にもSSLは、カナダの通信事業者Telesatのために開発した2台の通信衛星を、8月末までに打ち上げる計画(うち1台はすでに打ち上げ済み)。いずれも既存の通信衛星の置き換えを目的としている。
・広域通信と大容量データ通信を両立
ユーザーが広範囲に分布している場合には、通信衛星には広い通信範囲をカバーすることが求められる。SSLの設計する通信衛星では、通信範囲全域に電波を届けるべく広域ビームの技術を発展させてきた。ただし、ユーザーの分布状況は均一ではないことから、より密度の高い地域ではデータ容量を大きくする必要がある。そこで、新しく設計した3台の通信衛星では、広域ビームと集中的に電波を届けるスポットビームとを組み合わせている。
電波帯域には従来のものがつかわれ、広域ビームには長距離でも電波が届けられるCバンド(4~8GHz)を、スポットビームにはより大きなデータ容量を伝送できるKuバンド(12~18GHz)とKaバンド(26~40GHz)を採用しているようだ。
・製造には3Dプリントを利用
もうひとつの技術的革新は、製造に3Dプリントを利用していること。これにより、製造のスピードは向上し、通信衛星ごとに異なる細かい部分の設計への対応も可能になった。また、通信衛星の重量を減らすことにも貢献したようだ。3つの通信衛星は、既存の通信衛星を置き換えるものだ。「Merah Putih」はインドネシアの広域を、Telesatに提供の2つの通信衛星、「Telstar 18 VANTAGE」「Telstar 19 VANTAGE」は、それぞれ中国、東南アジア、太平洋地域および、アメリカ大陸と大西洋をカバーしている。
なお、既存のインドネシアの通信衛星「Telkom 1」は2022年に引退し、「Merah Putih」が完全に取って代わる計画となっている。
参照元:Merah Putih Features New Tech to Improve Satellite Broadband Service/IEEE Spectrum