最近、天津の南開大学の研究者たちが、次世代太陽電池の開発の関わる大きな前進を報告している。
研究では、有機薄膜太陽電池(OPV)がシリコンと同じくらい効率的であることが示された。
・17%~25%のエネルギー変換効率が実現可能
ソーラーパネルといえば、正方形や直方体のパネルを屋根や平らな場所に設置するイメージだろう。有機素材をインクに溶かして薄いプラスチック板に印刷できるOPVは、折り曲げたり巻いたりが可能だ。
これまでボトルネックとされてきたのがエネルギー変換効率の低さ。一般的な太陽電池は太陽光の15~22%をエネルギーに変換でき、27.3%の発電効率を持つものが英国で開発されたとの話もある。
これに対して、OPVのエネルギー変換効率はシリコン製のものの半分程度だった。
ただこれが、最近になって15%にまで上昇したようで、さらに今回の研究では、17%~25%のエネルギー変換効率が実現可能との結果が出ている。
・多層化することで異なる波長の光を効率よく吸収
OPVでは、炭素原子が電子と結合してしまい、そのぶんエネルギー変換にロスが生じる。この問題を解決するために研究者たちは、タンデムセルと呼ばれるアプローチを採用。構造を多層化することで、各層が異なる波長の光を吸収することができ、効率よく太陽光を電流に変換できるようにした。OPVは、すでに広く利用されている有機ELディスプレイ(OLED)と似た構造をしていて、生産のハードルが低い。これにより、OLEDと同じように数年で普及することも十分考えられる。
軽量で形状もフレキシブルなOPVは幅広い活用が可能。たとえば、これまで設置が難しかった途上国の屋根に設置するのに理想的だ。また、窓や車の屋根、衣服、メガネ、モバイルデバイスなどあらゆるものに組み込めて太陽電池の普及に大きく寄与するだろう。
参照元:Organic solar cells set 'remarkable' energy record/BBC