回収した熱エネルギーを暖房などに再利用することができ、電力消費量の軽減につながるのが利点だ。
・飲食店の厨房排気から熱エネルギーを取り出し、暖房に再利用
飲食店から日常的に排出されている厨房排気は、すすや油などが含まれているため、熱エネルギーを回収するには適さないと考えられており、厨房排気に含まれる熱エネルギーは、排気口から大気中にそのまま放出されている。そこで、「Enjay」は、飲食店の既存の排気ダクトに導入できる、厨房排気に特化した排気熱回収システム「Lepido」を開発した。
「Lepido」は、ダクト部分とヒートポンプ部分で構成。ダクト部分に厨房排気が流入すると、ヒートポンプ部分が熱エネルギーを集め、エネルギー消費効率(COP)を最適化しながら、暖房システムにこのエネルギーを供給する仕組みとなっている。
また、「Lepido」には、1日1回、ダクト部分に残った油を乳化処理する“セルフクリーニング機能”が備わっており、メンテナンスの手間なく、きれいな状態を保つことができる。
・寒冷地の飲食店にニーズあり!?
1日あたり15時間営業するスウェーデン南部のバーガーキング(Burger King)で「Lepido」の実証実験を行ったところ、年間8万5000キロワット時から11万5000キロワット時相当の熱エネルギーを再利用できた。
「Enjay」では、北欧をはじめ、西ヨーロッパの寒冷地にある飲食店で、「Lepido」のニーズがあると見込んでおり、本格的な量産化をすすめている。(文 松岡由希子)
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