アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の「Ground X Vehicle Technologies(GXV-T)」プログラムの一環として発表された新技術は、車が走行可能な環境を拡大するものだ。
・ホイールごとに動力を提供する分散型モーター・システム
GXV-Tプログラムのもとで開発された技術の1つは、イギリスに本拠を置くテクノロジー企業QinetiQ社によって開発された「インホイール・モーター」だ。各ホイールにモーターを備えるインホイール・モーターでは、ホイールごとに動力を供給することで、車両の操作性を向上させる。
商用でも開発が進められるこの技術だが、軍用車両ではホイールに通信機能が内蔵されている。これにより、アクセルやシフトレバーといった制御機構がまるまる不要になり、車体の大幅な軽量化が図れのも利点だ。
・ホイールを2m上下させるサスペンション・システム
もう1つの技術は、レーシングカー技術を提供するPratt&Millerによるもので、「マルチモード・エクストリーム・トラベル・サスペンション(METS)」と呼ばれる。METSは、荒れた地形を安定走行するための技術で、各ホイールを上下に2m動かせて障害物もなんなく乗り越えられるという。
METSを搭載した車両なら、ボコボコして険しい斜面でも滑らかに水平走行できるだろう。
GARPA公表の動画を見る限り、METSのサスペンション・システムでも、インホイール・モーターのような分散型の動力供給を採用しているようだ。
戦場のようなエクストリームな環境に合わせて開発されたこれらの技術は、例えば災害時や交通インフラの整っていないような環境でも活躍するに違いない。
GXV-Tプログラムで開発の技術は、まだプロトタイプのものだが、将来的には民生技術へ転用される可能性もあるだろう。
参照元:DARPA Shows Off Some Things You Can Do With Distributed Electric Propulsion/IEEE Spectrum