2012年に、長年理論上のものだったヒッグス粒子を発見したことで知られるCERN。今回のX線撮影にも原子・素粒子観測に使われる技術が応用されているようだ。
レントゲン写真がカラーになれば、医用診断が大きく進歩することになるだろう。
・ヒッグス粒子を捉えた観測技術を応用
CERNがヒッグス粒子を捉えた、大型ハドロン衝突型加速器では、コンピュータによる計測やシミュレーションにより、原子よりも小さい単位で粒子の振る舞いを追跡する。今回開発の技術は、この観測技術が応用されたもの。カメラは小さなピクセルと正確なエネルギー分解能を備え、これまでの医用画像診断装置では不可能だった画像を得ることができる。
「Medipix」と呼ばれるこの技術では、シャッターが開いている間に、個々の粒子を捉えてカウントする。これにより、高解像度、高コントラストの画像を生成。明瞭なカラー画像は、医療現場でのより正確な診断に役立つものだ。
・組織の色の違いを明確に表す
CERNによると、カラーX線撮影技術を用いれば、骨、筋肉および軟骨の素材感や色の違いを非常にはっきりと示すことができるという。実際にX線撮影された画像を見てみると、骨の形が鮮明に映し出されていて、そのほか組織との境目や色の違いも明らかだ。このような明瞭な画像を診断に用いることによって、例えば悪性腫瘍の位置や大きさが、従来よりも特定しやすくなるだろう。
CRENによるX線撮影技術が今後さらに発展することで、レントゲン写真はカラーが当たり前になるかもしれない。
参照元:First-ever colour X-ray on a human/AFP