電子レンジでは、熱を発生させるためにマイクロ波が作動している間、少しずつエネルギーが流出し、一部のエネルギーが無駄になっているという。アメリカの宇宙開発機構NASAが取り組んでいる、無駄になっている太陽光エネルギーを集めて活用しようというプロジェクトにヒントを得て、研究チームでは電子レンジのマイクロ波のエネルギーに着目。考案しているのは、エネルギーを集束するアンテナが、余分なエネルギーを集め、他のデバイスへエネルギーを送るという装置である。
研究チームの初期テストによると、2分間の電子レンジ使用により無駄になっているマイクロ波のエネルギー量で、小さいバッテリーで動くキッチンタイマー程度のデバイスを、数分間動かすだけのエネルギーが集まったという。
ただ無駄にされるだけだったエネルギーを上手に活用し、キッチン周りの家電やツールを動作させたり、将来的には携帯電話の充電などに使われることも考えられる。無駄なエネルギーを減らすことは、二酸化炭素の排出量を減らすことにもつながるため、地球環境にも関わるこの研究が、ますます進んでいくことが期待される。
川原圭博 教授