先月末には、一部機能をアップデート。世界のユーザーが手がけたゲームや教材が、独自コインで、自由にダウンロードできるようになった。
提供元は、2005年設立のしくみデザイン。代表取締役の中村 俊介(なかむら しゅんすけ)氏には、サービスに込めた特別な想いがあるようだ。
・親として、クリエイターとして考えた子どもたちのためのツール
Q1:まずはさかのぼって、このようなサービスを提供するに至った経緯から、お聞かせください。
きっかけは、子どもが生まれたことです。2005年に創業したときには、メンバー全員独身でした。しかし、クリエイターとして、1000を超えるデジタルコンテンツを制作し、十数年が経ってみると、その多くが親となっていたのです。そこで、自分たちがクリエイティブであること以上に、子どもたちがクリエイティブに育つにはどうしたらいいのだろうか、と考えるようになりました。
自らがクリエイターだからこそできる、子どもたちがクリエイティブになれるツールを作ろう。楽しく遊んでいるだけなのに、知らず知らずのうちに、デザインの考え方やプログラミングの考え方などが身につくような、そんなツールが欲しい。そんな想いから誕生したのが、この「Springin'」です。
Q2:今回のアップデートによって、アプリの使い勝手はどのように変わるのでしょうか?
これまでは、作ることに重点を置いたツールでしたが、子どもたちがクリエイティブになるには、作ったものが認められたり、他の人の作品を研究したりすることも大切です。そこで、今回のアップデートで、自分の作品が世界の人々に届けられる“マーケット”を、加えることにしました。
“マーケット”には、世界中の人々(子どもから大人まで)による、さまざまな作品が出品されます。それらは、アプリ内の仮想コインによって、売買できるようになっています。みんなの作品をダウンロードして、遊ぶことに加え、「自分の作品が売れる」という、クリエイター体験ができるようになった、というのが最大のポイントです。
・世界中がクリエイティブになるようなサービスを提供していきたい
Q3:世界中から、さまざまなクリエイティブがアップされる本アプリ。開発側から見て、印象に残っている作品はありますか?「うわ、やられた!」と、思わず口にしてしまう作品は、たくさんありますが、印象に残っているクリエイターは、小学3年生のわたるくんです。
直接会ったことはないのですが、アップデートでマーケットが始まる前から、お母さんを通じてFacebookページのメッセージで、作品を送ってくれていました。私たちに見せることが、モチベーションとなったようで、回数を重ねるごとに、新しいアイデアが増えて、クオリティが上がってきたのです。
作品の面白さはもちろんですが、その過程がまさに、今回やりたかったクリエイター体験そのもので、自分たちの方向性が間違っていないことを、確信しました。
Q4:今後の展開について、教えてください。
ようやくツールとしての基本機能がそろいましたので、次は“場”を用意していくつもりです。具体的に言うと、「Springin'」のより効果的な使い方テキストや、カリキュラムの整備、オンライン・オフラインの楽しく学べる空間の提供、といったところです。
(今後は)国内外さまざまな教育機関等と協力しながら、世界中がクリエイティブになるようなサービスを提供していきたい、と思っています。
今回のアップデートに伴い、全機能が無料で開放される。この機会に、親子で試してみるのもいいだろう。あなたもお子さんも、名クリエイターになれるかもしれない。(取材・文 乾 雅美)
Springin'