・腐敗臭を検知し、スマートフォンに通知
肉や魚が腐敗する過程では、アミノ酸が分解して生体アミンという物質が生成され、これが不快な臭いの原因となる。
そこで、共同研究チームでは、ナノ構造の導電性高分子をつかって、生体アミンを検知するセンサーを開発し、これをNFCタグに組み込んだ。
このNFCタグは、10センチ圏内の近距離にあるスマートフォンなどのモバイル端末と無線通信が可能。
生鮮食品が発する生体アミンをセンサーが検知すると、その情報をNFCによって送信し、生鮮食品の腐敗を知らせる仕組みとなっている。
共同研究チームによる実験では、食肉を華氏86度(摂氏28.9度)の空間で24時間放置したのち、このソリューションを使って食肉の生体アミンの量を正しく測定し、近くにあるスマートフォンにその測定結果を転送することに成功した。
・日本では年間2万人以上が食中毒患者に
厚生労働省によると、日本では、2016年時点で年間1139件の食中毒事件が発生し、これによる患者数は2万252人にのぼる。共同研究チームが開発したこの腐敗検知ソリューションは、ポータブルで信頼性の高いのが特徴。
消費者が日常的に食材の鮮度をチェックできるツールとしてはもちろん、食品加工業者や流通業者らが生鮮食品のサプライチェーンを管理するためのB2B型ソリューションとしても、この仕組みを応用できそうだ。(文 松岡由希子)
American Chemical Society