そのソリューションがこの3月、とうとう日本に上陸した。最初の拠点となったのは、和歌山市。官民連携で、地域課題の解決に乗り出すという。さて、国内での展開はいかに?OFO JAPAN 日本市場統括 日吉 良昭(ひよし よしあき)氏に、話を聞いた。
・都度利用から月額パスまで、利用者は着々と増加中
Q1:まずは、日本でサービス展開するに至った経緯から、お聞かせください。
「ofo」は、2014年に北京大学で5人の学生が始めたベンチャーです。都市の“ラストワンマイル”課題へのソリューションとして、多くの都市で受け入れられ、2017年にシンガポールに進出しました。以来、アメリカ、イギリスなど、欧米へもサービスを広げ、現在は22か国・250都市以上で展開する、グローバルサービスに成長しました。
日本には、大きな市場性と豊かなサイクリングカルチャーがあり、今後、自転車の“保有”から“シェア”へシフトしていく可能性が大いにある、魅力的な市場です。そうした背景から、サービス展開に至りました。
Q2:サービスの始動地として、和歌山を選んだのはなぜでしょうか。
「ofo」は、シェアサイクルを通して人と街をつなぎ、地域コミュニティを活性化することを、最終目的としています。従って、都市の街づくり計画や、パートナーの存在、地域の潜在ニーズがあることは、とても重要です。
和歌山市は、尾花市長(写真中央)が旗振り役となって、“スマートサイクルシティわかやま”を掲げています。自転車の活用による地域交通拡充、経済・観光振興、環境対策などに取り組んでおり、最初の展開地域として、最適でした。
同市でのサービス開始から、約2か月半が経ちますが、都度利用だけではなく、“1日パス”や“月額パス”の利用も広がり、その数は順調に推移しています。
・ライフスタイルの一部として浸透させたい
Q3:中国ではすっかり市民権を得ているシェアサイクルですが、日本国内では、どのような形でアピールしていかれるのでしょうか。シェアサイクルは、効率的な移動手段だけに留まりません。いつもの風景が違って見えたり、寄り道が楽しくなったり、もう少しだけ遠くへのお出かけが手軽になるなど、一人ひとりの行動範囲を広げ、見過ごしてきた街の魅力を、再発見することにつながります。
二酸化炭素排出のないエコな乗り物のため、健康にも良いという面もあります。ライフスタイルの一部として、アクティブでスマート、そして毎日が楽しくなる、“シェアサイクルのある生活”の利点を、伝えていきたいと思います。
Q4:今後の展開について、教えてください。
まずは、すでに展開している和歌山、北九州、大津の3都市でのサービス拡充をめざします。大津市では、駅前のサイクルポートの利用が、全体の約30パーセントを占めており、公共交通機関との連携の重要性が、あらためて裏付けされています。
近隣都市への拡大も、サービスの広域化という観点から、ユーザーの利便性を高める、と考えています。東京オリンピック開催の2020年に向けて、自転車の活用推進の機運とともに、一般生活者のシェサイクルの認知度も高まりつつあるので、全国規模の需要拡大を予想しています。
今後もニーズのあるエリアで展開を進め、「人と街をつなぐ」というミッションを、実現していきたいと思っています。
(取材・文 乾 雅美)
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