それにしてもなぜ、このようなブログを始めることになったのか。張本人の山田氏に、早速詳しい話を聞いた。
・失敗例も含め、リアルな実情を伝える
Q1:企業ブログを始めたきっかけは、貴社の認知度を上げるためでしょうか?認知度よりもまず、社内メンバーに読んでもらいたかったからです。以前は、Slackや社内ドキュメントツールに、伝えたいことをまとめて書いていたのですが、やはり流れてしまったり、メンバー側にも慣れが出てきて、じっくり読んでもらえなくなってきたな、と感じていました。
そこで、ブログ形式で、外に発信することにしたのです。外部からのリアクションもあるので、メンバーもつられて読んでくれるかなと思い、そうすることにしました。
自分自身の継続のモチベーションにもなりますし、ブログという形のせいか、命を削って書いている感じが、すごく伝わるんです。おかげさまで、メンバーの読了率は、狙いどおり大幅に上がりました。
Q2:働く人にとって参考になりそうな、興味深い内容だと思いました。ブログを書く上で何か方針はあるのでしょうか?
方針は、過去の自分たちがほしかった情報を書く、ということですね。実はスタートアップに関連する情報というのは、リアリティがあり過ぎるせいか、ネットには見当たらず、きれいな成功事例ばかりが目立ちます。
もちろん、そういう情報も有意義ではありますが、どういう部分で悩んでいるのかなど、失敗例の方が参考になることも多いのです。そのため、(自身のブログでは)昔の自分がほしいと思った内容を、書くようにしています。
・スタートアップの真の姿を知ってほしい
Q3:ブログを書いていて一番印象に残っていること、うれしかったことは、どんなことですか?やはり、遠い存在だと思っていた方々にコメントをもらったり、面接の際、「(ブログを)読んで来ました」と、言ってもらえることですかね。
最近だと、Twitterでブログの内容を投稿したツイートが、800件以上リツィートされて、驚いたと同時に、役に立つ内容を書いているのだな、とうれしく思いました。
面接では、「ブログ読んで、会社のことを好きになった」という人がいたり。「より入りたい気持ちが、高まりました」と、言われたときは、うれしかったですね。
Q4:スタートアップ企業として、ブログを通して、人々にどんなことを伝えていきたいですか?
とにかく生々しい情報を発信して、「スタートアップって、こんな感じなんだ」と、正しい想像ができるようにしたいですね。スタートアップは、いまだに間違ったイメージで捉えられることが多いですし、そこで働いている人たちに対する、勘違いもあるようです。
スタートアップで働くとは、どういうことか。人材サービスを提供している企業の一員として、多様な考え方や、スタートアップに対する見方を提供できるような内容を、発信できればいいな、と思っています。
同社では、他にも社員が立ち上げたブログがあり、こちらも好評を博している。彼らの真剣なメッセージは、職種に関係なく、心に響く。企業の大小を問わず、参考になるに違いない。(取材・文 乾 雅美)
ブログ 株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた