そもそもなぜ、働き手が居つかないのか。その理由の1つが、店舗内のコミュニケーション不足。シフトを紙の上で行ったり、責任者とアルバイトが、チャットツールで個人的にやり取りするなど、非効率的な方法で、労働を管理している店が実に多い。ここを解決するだけで、運営のかじ取りは大きく変わるのではないだろうか。
テッカブルが注目したのは、今月リリースされたばかりの新サービス「CAST(キャスト)」。シフトの管理から給与計算までワンストップでできる、アルバイト専用のコミュニケーションアプリだ。
提供元は、豊富なチャットボットツールの開発経験を持つhachidori。代表取締役の伴 貴史(ばん たかし)氏に、詳しい話を聞いた。
・バイトに関わるすべてのことが1つのアプリでできる
Q1:まずは、このようなアプリを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
弊社では、もう一つの事業として、チャットボット開発支援をしております。その中で、複数のクライアントから、スマートフォンを使って、効率的にシフト調整やアルバイトとのコミュニケーションを効率化できないか、とご相談をいただきました。
しかし、世の中にそれらの課題を解決するソリューションが存在しなかったため、アプリの開発に至った次第です。
Q2:「CAST」とは、どんなアプリなのでしょうか。詳細について、教えてください。
ひと言で言えば、バイトに関わるすべてのことが、スマホで簡単にできるアプリケーションです。
アルバイトする側は「CAST」上で、自分のシフト登録、収入管理ができます。店長は、バイトのシフト提出依頼・催促・調整・交代などの煩雑な業務を、効率化することができます。
・お店で働くすべての人がハッピーになれるプラットフォーム作りを
Q3:開発にあたって最も苦労したのは、どんなところでしょうか?
業界業種店舗によって、要望はまちまちで、開発する際も、なるべく汎用性を高め、皆さんに便利に使ってもらえるよう、想定するところから始めました。アルバイトという消費者目線、店長・オーナーという企業目線の両方から、利便性や訴求点を考えるのも、大変でした。
Q4:ブラックバイトなどが問題になっている昨今。本アプリは今後、社会にどのような形で貢献していくのでしょうか?未来の展望をお聞かせください。
「CAST」は、コミュニケーションを通して、店舗内の状況を可視化することができます。管理するアルバイトの勤怠実績データ、アルバイトの人員増減データなどを元に、店舗とアルバイト、双方に対する求職・求人情報提供が可能なため、採用難の緩和にも寄与できる、と思われます。
過労に関しては、アルバイトだけではなく、店長の労働環境も問題視されています。「CAST」によって、飲食店などの忙しい店長業務をサポートし、QSCやお客さまの”美味しい”にフォーカスできれば幸いです。店舗で働く人のためのプラットフォームを構築し、その人たち全員が、ハッピーになる世界を実現することが、弊社のめざす未来です。
正社員も不足する中、アルバイトを定着させるのは、大変なことかもしれない。しかし、お店で“働く”というのは本来、とても楽しいものだ。「CAST」のサポートによって、それを実感してほしい。利益にとらわれない労働本来の尊さを見つけられたとき、伴氏が願う“全員ハッピーな世界”が、実現するのではないだろうか。(取材・文 乾 雅美)
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