・99.3%の精度で画像データから野生動物を特定
野生動物の生態調査では、野生動物が出現しやすい場所にカメラを設置し、モーションセンサーや赤外線センサーによってその体温や動きを感知して自動で撮影する“カメラトラップ”が普及している。
しかしながら、自動撮影された膨大な画像データを精査し、野生動物の種類を特定したり、その数を数えたりするのは、人手に委ねられており、多くのボランティアの協力を借りながら、このような労働集約型タスクを遂行しているのが現状だ。
そこで、共同研究プロジェクトでは、ディープニューラルネットワーク(DNN)を開発し、クラウドソーシング型市民プロジェクト「Snapshot Serengeti」がタンザニアで撮影した野生動物の画像データ320万件を使って、48種類の動物の特定やカウント、行動記述の手法をこれに学習させた。
その結果、99.3%の高い精度で野生動物を分類したほか、それぞれの頭数をカウントし、「立っている」「食べている」「寝ている」など、その状態までも正しく描写した。
これによって、従来、ボランティアらが担っていた1万7000時間分もの分類作業を効率化できるという。
・野生生物や生態系の調査にも人工知能が活用される
この共同研究プロジェクトの成果は、“カメラトラップ”をはじめとする野生動物の生態調査において、ディープラーニングがその正確性や効率性の向上に寄与することを示すもの。
野生動物や生態系の保護やそのための調査活動にも、人工知能の活用がますます広がっていきそうだ。(文 松岡由希子)
University of Wyoming