・わずか98ミリワットの電力で自律飛行に成功
近年、機械学習や人工知能により、コンピュータに取り込んだ画像情報を処理して必要なものを取り出す「コンピュータビジョン」の技術は大幅に進化してきたが、メモリや帯域幅、電力の制約から、とりわけ小型ドローンにこのアルゴリズムを搭載するのは、いまだに難しいとされている。
そこで、共同研究プロジェクトでは、「Crazyflie2.0」に、超低消費電力プロセッサ「GAP8」を使って両校が独自に開発した「PULPプラットフォーム」を採用。
「PULPプラットフォーム」とは、コンピュータの命令の種類を減らし、回路を単純化して演算速度の向上をはかるマイクロプロセッサ設計手法「RISC-V」を活用した超低消費電力のコンピューティングプラットフォームで、ドローンだけでなく、IoTデバイスに幅広く応用できるのが特徴だ。
共同研究プロジェクトによると、「PULPプラットフォーム」で自動制御された「Crazyflie2.0」は、平均わずか98ミリワットの電力ですべての処理をまかない、短時間ながら自律飛行したという。
・コンピュータの超低電力化がドローンの小型化を後押し!?
このような研究プロジェクトの成果は、コンピュータの超低消費電力化というアプローチが小型ドローンに応用できる可能性を示すもの。
将来的には、大気環境のモニタリングやセキュリティ用監視カメラなど、様々な分野での実用化が期待されている。(文 松岡由希子)
Ultra Low Power Deep-Learning-powered Autonomous Nano Drones