ところで、スマートコントラクトはEtheriumの専売特許と考えられがちだが、実はBitcoinでも実装が進められているのをご存じだろうか。
MITによるデジタル通貨イニシアチィブ(DCI)主導で開発される「oracles」は、スマートコントラクトの実装を推し進め、Bitcoinを実用的なものにスケールさせようとしている。
・ライトニングネットワークを活用し高速処理を実現
DCIは、Bitcoinへのスマートコントラクト実装にライトニングネットワークを用いている。ライトニングネットワークとは、トランザクションの一部をオフチェーンで実行して取引を高速化するネットワークで、ペイメントチャネルにも活用されるもの。
oracles自体はDCIが公開済みのライトニングネットワーク軽量クライアント「lit」を拡張するもので、開発者が大きなデータをダウンロードしなくてもテストできる手軽さがある。
またoraclesでは、取引でのプライバシーが守られるモデルを実現していて、ライトニングネットワークが持つ匿名性欠如の課題を克服しているようだ。
・外部イベントをキューとした支払いが可能
ちなみに、同プロジェクトのメインメンバーTadge Dryja氏は、今年3月にはBitcoinメインネットでのライトニングネットワーク稼働を実現したLightning Labsに所属し、litの開発者でもある。
今回は米ドルの価格と連動した取引が実証されたが、oraclesでは、その他のビットコインと関連のない外部イベントもスマートコントラクトに載せられる。例えば天気と連動したサービス構築などが期待できるようだ。
Bitcoinでは、もともとスマートコントラクトが組み込まれているEtheriumと比べて、ナレッジの蓄積が十分でないなど、スマートコントラクト開発者にとってやさしくない環境が課題となっている。
開発者が参入したくなるような環境が整えられるかが、oracles発展のカギとなる。
参照元:MIT Tests Smart Contract-Powered Bitcoin Lightning Network/CoinDesk