細菌を利用して作られたセンサーは、標的刺激を検出すると光などの信号を出力するよう設計されるが、従来、信号の測定には特殊な実験装置が必要だった。
そんななか、MITの研究チームは、生物センサーに、細菌から放出された光を無線信号に変換する電子チップを統合。これにより、スマホやパソコンから細菌からの信号が読み取れるところまできたようだ。
・消化器官にとどまって症状を検知
今回作られた生物センサーの目的は、胃や腸での出血が短時間でわかること。
本来、胃潰瘍を調べるためには、内視鏡検査を受けなければならず、これに抵抗がある患者も少なくない。もしチップ入りカプセル摂取で済むのなら、検査は今よりずっと身近なものになるだろう。
細菌をデバイスの中にパッケージングすることで、胃で消化されずその場にとどまって監視し続ける。無線チップと組み合わせられたセンサーは超低電力で動作し、胃酸も利用した発電で、理論的には1.5カ月間もつように設計されている。
同生物センサーは、生体信号をほぼリアルタイムで検出することができ、健康状態が診断できる。
・今後は複数の症状の診断も可能に
デバイスは4種類までの細菌が搭載できるように設計されていて、複数の異なるタイプの細菌を積めば、同時にさまざまな症状が診断できる。
今回の豚を用いた実験では、大腸菌を遺伝子操作。血液の成分であるヘムに反応する細菌と、炎症マーカーとなる分子に反応する細菌が試されたが、他の症状を検知する細菌も設計可能だという。
今後は生物センサー実用化に向けて、いまは約3.8cmある円筒型センサーのサイズを小型化し、消化器官での細胞の生存時間を測定していく予定。
近い将来、胃腸系の検査は、カプセル一つ飲めば済むようになるかもしれない。
参照元:Ingestible “bacteria on a chip” could help diagnose disease/MIT News