日本発のグローバルなIoTプラットフォーム、「ソラコム」とは
Q.1 まず初めにソラコムについて簡単に説明して頂けますか?ソラコムのビジネスを理解するには、まずAWSの仕組みを説明するのが良いと思います。AWSが登場する以前は、各企業が多額の初期費用を投資して、サーバーを運用する必要がありました。そのサーバーのキャパシティ―を使い切れるかどうかが、わからないにもかかわらずです。
一方で、AWSを使用した場合、自分たちが使用した分だけ料金を支払えばいい。この仕組みがスタートアップ層やデベロッパー層に評価され、AWSは急速に広がっていきました。特に、スタートアップ層にとっては、この仕組みがスモールスタートの実現に適していたのです。
実はIoTの分野でも、同じようなことが起きています。IoTデバイスのデータを処理するためには、クラウドに繋げる必要があります。エッジ側(デバイス側)でデータ処理を行うという方法もありますが、コンピューティングリソースはクラウドがメインなので、クラウド側で処理をしたいという需要の方が多いです。
そこで、どうやってクラウドに繋げるのかということが問題になっています。通常は通信事業者(日本で言うとNTTドコモやKDDI、米国でいうとAT&Tやベライゾンなど)と回線を契約し、初期費用を支払い、使用するデータ量を決め、複数年にわたる契約を結びます。ネットワークもAWSと同様に、使用した分に応じて支払いができればいいのではないか。このアイデアをベースにIoTプラットフォームSORACOMを提供開始しました。
Q2. ちなみに、川本さんは何故前職のAWSを辞めて、ソラコムに参画しようと思ったのですか?
もともと創業者のメンバーを知っていたため、一番重要な人の面に関しては「イケる」という確信がありました。技術的な面で見ても、コアネットワークの部分をAWS上に構築したというのが、いかに革新的であるかということがわかっていました。
間違いないなと感じたのは、サービス開始から24ヶ月という短期間で約9000ユーザーというお客様がついたという点です。ここで、自分の感覚が正しかったと思いました。最終的には、魅力的な人材、革新的なサービス、そしてマーケットでの高い需要の3点が揃っているという点で判断しましたね。
また、KDDIが高い金額で買収したという点においても、サービスが評価されているということを確信しました。もちろん、100%の確信ではなかったけど可能性があるし、わからないからこそ面白いなと感じて、飛び込みましたね。
Q3. 最後に、ソラコムの現状と今後の展開についてお伺いしても良いですか?
はい、現在はサービスが始まって24ヶ月ちょっとですが、世界中で約9000ユーザーに使っていただいています。日本国内と海外の数は日本で約7000、海外で約2000ユーザーという感じです。日本でサービスを開始したので、現在は日本のお客様が多いという状況ですね。
しかし、昨年の8月にKDDIの子会社化したことを機に、今後は本格的に海外事業に投資していこうとしています。実は2016年の末から海外展開は進めていたのですが、KDDIの資本が入ったことをきっかけに、海外、特に米国の投資をさらに加速させていこうとしており、私が米国事業の責任者として事業を立ち上げている段階です。
そもそもソラコムがサービスを始めた理由は、日本だけではなく世界で通用するグローバルなプラットフォームを作りたかったからです。ですので、最初から「Go Global」はどこかのタイミングでやっていこうと考えていました。
SORACOM
【執筆者情報】
アメリカ・シアトルにてBig Picという国内外のスタートアップ情報を、学生目線から発信しているメディアを運営しています。
現地シアトルで働く日本人や起業家へのインタビュー記事も多数あるので、是非御覧ください。
-URL-
http://seattle-gakusei.com/