そもそも、クリエイションの価値は、大衆が決めるもの。メディアや企業が定めた指標に従うだけでは、本当に才能のある人が、埋もれてしまいかねない。そこで登場したのが、この「CLAP(クラップ)」だ。クリエイターの集う場所へ、足を運ぶことで独自の通貨を得られる、これまでにないまったく新しいサービス。クラウドファンディングとはひと味違う、リアルな感覚で支援できるところが面白い。
提供元は、2017年設立のOnokuwa社。代表取締役CEOの石谷 優樹(いしたに ゆうき)氏に、話を聞いた。
・クリエイターとファンの間のポイントカードのようなサービス
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
学生時代、自分で音楽フェスの運営代表を担う機会があったのですが、そのときに、既存のクリエイターの評価指標に偏りがある、と感じたことがきっかけです。
現在、世の中は、大きく変わっていく途中にあると思います。クリエイターが、自分で情報発信することも可能になり、コンテンツ制作のコストも下がりました。しかし、大きなビジネスや業界の仕組みとしては、まだまだ旧態依然としています。
この部分に大きなギャップを感じた私は、テクノロジーと現行の仕組みの狭間で、クリエイターが割を食ってしまう世の中であってはいけない、と思いました。そこで、Onokuwa社を立ち上げ、「CLAP」というサービスを開始したのです。
Q2: 「CLAP」とは、どんなサービスなのでしょうか?
現在の「CLAP」は、ファンがライブ会場やギャラリーへ足を運ぶことで、クリエイターの応援に変わるサービスとして提供しております。クリエイターとファンの間のポイントカードというのが、一番近い表現かもしれません。
ファンは自分がライブを楽しんだり、クリエイターのグッズを買うついでに、「CLAP」を獲得することができます。そして、その「CLAP」を使って、自分の好きなクリエイターに、投げ銭のように「CLAP」を贈ることで、応援が成立します。
クリエイターはファンから得た「CLAP」を使って、自分が活動するための機会に、つなげられます。最近では、アーティストのMiliさんとのキャンペーンが、スタートしました。多くのファンの方がMiliさんに、「CLAP」を贈って応援しています。
・新たな評価指標をめざして
Q3:サービス構築にあたって、最も苦労したのは、どのようなところでしょうか?現在も、まだまだ答えが出ていないところではあるのですが、クリエイティブを「評価する」という点が、一番難しいところであり、これからも、常に考え続ける必要がある部分です。
クリエイティブというのは、本来主観的に判断するものであり、ただ楽しむというだけなら、評価は必要のないものではないか、と考えています。
ただし、商業的な観点で言うと、現在の偏りがある評価の仕組みには、問題があると感じております。クリエイタービジネスが存在する以上、私たちの存在意義はあると思います。
Q4:今後の展開について、教えてください。
今後は、クリエイターの新たな評価指標になることを、めざしていきます。現在は、「CLAP」アプリでファンが足を運ぶことを可視化していますが、今後は、物販やチケットなどの決済データや視聴データを統合し、多角的なデータベースとして、確立していきます。
「CLAP」を基盤に、決済サービスやプレイガイド、コンテンツ制作なども展開していく予定です。最終的には、評価指標とクリエイターにとっての機会、お金が結びつく1つの経済圏を創出していきたい、と思います。
「CLAP」は現在、ベータ版として公開中。ポイントが獲得できる「CLAP SPOT」は、現時時点(2018年4月)で、都内約25か所に設置されている。アプリの利用は、無料。スタンプラリー感覚で、好きなクリエイターを応援してみて。(取材・文 乾 雅美)
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