「HIrisPlex-S」は、DNA表現型と呼ばれる分析手法により、ヒトの瞳、髪、肌の色を予測するウェブツールだ。

米インディアナ・パデュー大学インディアナポリス校と蘭エラスムス大学医療センターの共同研究チームによって開発された。

・DNAサンプルから瞳、髪、肌の色を予測

ヒトの表現型などをゲノム情報から検出し、遺伝的形質の情報の一部を得る「FDP」は、犯罪捜査において、標準的なDNA型鑑定では特定できない被疑者の絞り込みに役立つ、有力な解析手法のひとつとして知られている。

共同研究チームでは、これまでに、ヒトの虹彩の色を予測するDNA鑑定システム「IrisPlex」と、虹彩および髪の色を合わせて予測するDNA鑑定システム「HIrisPlex」を開発し、警察での犯罪捜査や考古学の研究に提供してきた。

そして、このほど、とりわけ難易度が高いとされてきた肌の色の予測モデルの構築にも成功し、ようやく「HIrisPlex-S」が完成。

ヒトの血液、精液、唾液のしみなど、わずか63ピコグラム程度のDNAサンプルをもとに、3種類の虹彩の色、4種類の髪色、5種類の肌色から、それぞれを正確に予測できるのが特徴だ。

・犯罪捜査や考古学の研究に寄与

「HIrisPlex-S」は、オンラインで無償にて提供されており、2018年4月の開設以来、すでに2000万件以上の表現型の予測を実施した。

犯罪現場に残されたDNAや考古学的な遺物をもとに遺伝子標識を特定するツールとして、その活用が期待されている。（文　松岡由希子）

HIrisPlex-S