今回その成果を報告したのは、USC Viterbi School of Engineering内の技術チーム。3Dプリントを使った、音響メタマテリアルを開発したという。
・世界が注目する人工素材
メタマテリアルとは,ナノサイズの 金属構造を用いて、人工的に新奇な電磁気学的特性を付加した擬似物質のこと。これを利用すると、光の磁場成分に直接応答する物質など、自然界にはあり得ない特性を持つ物質を、作り出すことができる。
例えば、超薄型のめがねレンズ、原子観察が可能な顕微鏡など。自然界の常識を超えて、光を自在に操ることができる究極の人工材料。それが、メタマテリアルだ。究極的なところでは、透明人間も夢ではないと言われている。
しかし、その特異な幾何形状のためか、現段階では、せっかくの能力がフルに利用されていない状況。せいぜい、クローキングデバイスや、通信システムの改善に使われている程度だ。課題は、まだある。メタマテリアルは、固定ジオメトリで構成されているため、精密な構造設計を必要とする。しかも、いったん構成したジオメトリは、変更することができない。
・多彩な分野での活用が期待
そこに着目したのが、今回の研究。この3次元印刷メタマテリアルは、現在のメタマテリアルとは異なり、磁場を使って遠隔でオンオフの操作が可能だ。ジオメトリの変更にも、柔軟に対応する。ノイズ除去や振動制御の他、音響波からオブジェクトを隠すための音波クロークなど、幅広い分野での活用が期待できる。
革新的な素材ゆえに、今一つ活路が見出せなかったメタマテリアル。今回の研究によって、新たな道が切り拓かれることを願う。
souce by USC Viterbi School of Engineering