患部に当てて、バイオインクを“出力”すると、その場で組織が生成される仕組みが特徴だ。
・修正テープのようなバイオ3Dプリンターで深い傷を保護
ヒトの皮膚は、表皮・真皮・皮下の3つの層からなり、皮膚に深い傷ができると、これらすべての層が損傷するケースも少なくない。
現在、組織工学を応用した皮膚代替物などが開発されているが、臨床現場では、まだそれほど普及しておらず、既存の3Dバイオプリンターは、大型でスピードが遅く、高価なのが課題だ。
そこで、研究プロジェクトでは、組織を生成するマイクロデバイスを搭載した、修正テープのような形状の3Dバイオプリンターを開発。
この3Dバイオプリンターの“バイオインク”には、皮膚の層のひとつ「真皮」や血液凝固にかかわるタンパク質「フィブリン」に多く含まれる「コラーゲン」などをベースとした生体材料が使われている。
小型の靴箱くらいのサイズで、1キログラム未満と軽量であるうえ、既存の3Dバイオプリンターと異なり、洗浄や細胞積層体の培養といった工程も不要だ。
・近い将来、臨床試験にも着手
研究プロジェクトでは、今後、より大きな傷にも適用できるよう、この3Dバイオプリンターの機能をさらに充実させていく方針。
また、近い将来、ヒトに対する臨床試験にも着手する計画だ。(文 松岡由希子)
University of Toronto