長時間にわたって高い精度と集中力を持続させながら開頭手術にあたる外科医の負担を軽減し、患者のストレスを緩和させるのが狙いだ。
・コンピュータ制御により高精度で開頭手術をサポート
一般に、開頭手術では、頭部の皮膚を切開した後、ドリルで頭蓋骨に穴を開け、その一部を取り外した上で、必要な手術を行う。
「RoBoSculpt」は、骨のように硬い組織に対応して設計された、手術用ドリル付きの7軸構造のCNCフライス盤だ。
患者の頭蓋骨を撮影したCT画像をもとに、穿孔や除去を行う部位を執刀医が指示すると、コンピュータ制御により精緻に動作する仕組みとなっている。
また、「RoBoSculpt」は、外科医とロボットとの効果的な恊働モデルを実現しようとしているのも特徴だ。
オランダ・聖ラドバウド大学医療センターの頭蓋底外科の専門医であるディルク・クンスト(Dirk Kunst)博士は、「『RoBoSculpt』は、外科医とマシンとの最適なコラボレーションを実現するものだ。互いに補完し合うことで、患者に最良の成果をもたらすことができる」と期待を寄せている。
・5年以内には実際の手術で活用される見通し
研究プロジェクトは、2018年末までに、「RoBoSculpt」の前臨床試験を聖ラドバウド大学医療センターで実施する計画。
また、オランダのスタートアップ企業「Eindhoven Medical Robotics」では、アイントホーフェン工科大学と提携し、この技術の事業化を検討している。
今後5年以内には、「RoBoSculpt」が実際の開頭手術において活用される見通しだ。(文 松岡由希子)
Technische Universiteit Eindhoven