市販されているものには、浮遊するスピーカーなどもあるが、このような磁力を利用したプロダクトでは、浮遊対象にも細工する必要がある点で、ややガッカリだ。
そこで今回は、落合陽一さんのプロジェクトと同じく音波を利用した原理により、手軽に物体浮遊が体験できる(ものを動かしたりといった複雑な機能はない)キットをご紹介しよう。
・超音波による空気分子の振動を利用
Mekerfabsにて販売されているキットは、向き合った装置から超音波を発生させ、空気分子の振動を利用して物体を支えるシステムだ。
通常の音波は波形が進行するのに対し、双方向からの音波を重ね合わせることで、その場で波形が振動しているようにみえる「定在波」ができる。
波形の中心軸上には、動きのないようにみえる「節」があり、ここにものを置くと空間の定位置に保持される仕組み。
上下36対の振動子によって定在波を作り出すことで、中心軸に向かって力を集中させ、浮遊物体が横にずれるのを防いでいる。
・Arduino Nanoから浮遊物体の位置を調整
このキットは、素材を分離するための装置「TinyLev」の作成に関する論文をベースにしたものだ。TinyLevは、約4mmまでの軽い物体を持ち上げることができるという。
これを応用したキットはArduino Nanoと、振動子に電流を流すモータードライバーで構成されていて、Arduino Nanoが供給するシグナルのタイミングにより、モータードライバーを制御する。また、Arduino Nanoからのシグナルの調整で浮遊物体の垂直位置も変えられるという。
振動子を配線してキットを組み立てたら、Arduino Nanoに制御ソフトをインストール。うまくできれば木片や水滴、アリなどを浮かせることができる。興味のある方はMekerfabsからキットを70ドル(約7600円) + 送料約25ドル(約2700円)で購入し、ぜひ物体浮遊にチャレンジしていただきたい。
参照元:How to Make Things Float With Ultrasound/IEEE Spectrum
Acoustic Levitator/Mekerfabs