いくつものプロジェクトを並行して進める習性のあるGoogleだが、さすがにここにきて混乱を収束させる動きを見せている。
コンシューマー向けのものについてはAndroidメッセージが主流になりそうだが、これにはAppleのiMessageやFacebookのWhatsAppおよびMessenger、Telgramなどのに対抗する意図もありそうだ。
・Googleのメッセージングサービスの紆余曲折
今回、Alloのプロジェクト休止および、「Chat」というAndroidメッセージに統合される新たなサービスの開発を発表したGoogleだが、かねてからいくつものメッセージングサービスを試してきている。
インスタントメッセンジャーのGoogle Talkや音声通話ができるGoogle Voice、これに替わるライブビデオストリーミングサービス、ハングアウトは、現在Slackなどのようなエンタープライズ向けに移行している。
2年前に開発開始されたAlloに関しては、Googleアシスタントも利用でき、メッセージの暗号化にも対応した素晴らしいアプリだ。しかし、WhatsApp、Facebook Messengerのアプリが10億回以上ダウンロードされたのに対し、Alloは5000万回と伸び悩んでいた。
なお、同じようなビデオチャットのDuoについては、iPhoneからの利用も多く、成功しているようだ。
・Googleが普及を推進するRCSとは
Chatは、Googleが積極的に推してきたRCS(Rich Communication Services)がベースになっているサービス。Chat開発の発表は、同規格の普及を加速しようという意図の表れでもある。
RCSはSMSに取って代わる技術として注目されるもので、1対1やグループでのテキストのやり取りが可能なことに加え、画像や位置情報などのコンテンツの送信、共有や音声通話やビデオ通話が簡単にできる。
通信事業者を介して送信されるSMSは、テキストや絵文字などに独自規格があることや、通信料金の発生がやっかいだったが、RCSではこれをクリア。共通のプロファイルを持っているので、LINEのようにアカウントを設定せずとも、電話番号によるやり取りが可能となる。
RCSは、2007年からキャリアとメーカーによる団体、GSMA(GSM Association)が取り組んでいるもので、普及にはこうした事業者の提携が必須となる。現在、主要な事業者がRCSのサポートへの同意を示しているものの、これにAppleが入っていないのが気になるところだ。
Googleは、今後数年かけてChatの実装を進めていくとのことで、Androidユーザーの方は来年にはRCSの利点が体験できるかもしれない。
参照元:Chat: Google’s big shot at killing Apple’s iMessage/The Guardian
参照元:EXCLUSIVE: CHAT IS GOOGLE’S NEXT BIG FIX FOR ANDROID’S MESSAGING MESS/The Verge