この生検、病理医ががんかどうか、がんであるならどの程度深刻なのかといったことを調べるのだが、この時間を要する作業を素早く的確に行えるよう、Googleの研究チームがAR顕微鏡を開発した。
病理学者が顕微鏡をのぞいて目にする映像に、拡張現実でがん細胞部分の輪郭部分にリアルタイムでマークを入れるというものだ。
・がんを“学習”
このほど開かれた米国がん学会の年次総会で発表された。
AR顕微鏡といっても、普通の光学顕微鏡を使っていて、これにARや人工知能(AI)を組み合わせている。
ソフト面では、細胞画像にあるがんを検知するようニュートラルネットワークに学習させ、ハード面では、顕微鏡がとらえた映像がコンピューターにつながるようにし、加えてARディスプレイが筒部分にくるよう顕微鏡を改造している。
・リアルタイムに画像にマーク
その顕微鏡に細胞のスライドを乗せると、病理医が目にする細胞の姿をコンピューターも“見る”ことになる。そして、がんが認められればARでがん細胞の輪郭をラインで表すという仕組み。
これらの作業がほぼリアルタイムに行われ、例えば病理医が細胞画像を拡大したり、スライドを動かしたりしてもタイムラグなくAR表示されるとのこと。
この顕微鏡で乳がんと前立腺がんの細胞を調べたところ、正確にがん細胞を検知できたとのことで、Googleは今後、他のがん、結核やマラリアといった感染症などにも使えないか、さらに研究を進めることにしている。
Google Research Blog