そんななか、スタンフォード大の研究者が、脳の電気信号を音に変換して診断に役立てられる、「脳聴診器」を開発した。
てんかん発作の兆候検出などに役立つ脳聴診器の開発経緯と特徴についてみていこう。
・開発は宇宙探索データによる音楽がきっかけ
脳聴診器のアイデアは、スタンフォード大で神経科学を研究するJosef Parvizi教授が、ボイジャー宇宙探査機が取得したデータをもとにした演奏を聴いたことから生まれたものだ。
脳波を音にすることができると思いつたParvizi教授は、音楽研究のChris Chafe教授に脳波データを送り、ここから音楽を生成するアルゴリズムが完成した。
こうしてできた脳聴診器では、見た目にはわからないてんかん発作を診断することができる。
・訓練を受けなくても聴診が可能
てんかん発作は、事故や転倒など多くのリスクを伴うものだ。また、けいれんのような症状が表れないサイレント発作が90%以上で、この場合も長引くことにより脳が損傷するリスクがある。
こうしたてんかん発作の診断は、脳波センサーを備えた器具を準備し、訓練を受けた専門科が脳波を測定してこれを分析する必要がある。
受診したタイミングでは脳波に現れないことも多く、正確な診断が難しい。
脳聴診器を使った研究では、脳の診断に関して専門的な訓練を受けていない看護師や医学生が、95%以上の確率でサイレント発作を検出できたとのこと。
脳聴診器の登場により、てんかん発作の早期診断が可能になると考えられ、活用が広がることを期待したい。
参照元:Stanford researchers listen for silent seizures with "brain stethoscope" that turns brain waves into sound/Stanford News