開発元のNature, Inc.は、 ハーバード大学発のベンチャーとして設立されたスタートアップ。「Nature Remo」とは、同社にとってどのような製品なのだろうか。Founder and CEOの塩出 晴海(しおで はるうみ)氏に、製品開発のきっかけから今後のビジョンまで、さまざまな話を聞いた。
・「Nature Remo」は目的実現のための出発点
Q1:まずは、このような製品を開発されたきっかけから、お聞かせください。
2011年3月、東南アジアの僻地にある炭鉱を、小型セスナ機で訪問しました。そこで空から見た景色は、今でも鮮明に記憶しています。(中略)ホテルに戻ると、福島原発事故のニュースが届きました。
当たり前のように使っていた電気、それを支えてきた中央集権的な原子力発電や石炭火力発電の歪みを目の当たりにして、分散化電源の普及を支える事業を立ち上げたいと思ったんです。そこで注目したのが、全体の30パーセントの家庭向けの需要のうち、ピーク需要の50〜60パーセントほどを占めるエアコン。この需要を制御できれば、国内の20パーセント弱の需要も制御できる、と考えたことが、製品開発のきっかけです。
Q2:世の中には今、さまざまなIoTプロダクトが出ています。その中で、どのように差別化されていくのでしょうか。「Nature Remo」ならではの特長と併せて、お話しください。
弊社にとって「Nature Remo」は、目的実現のための手段です。めざしているのは、エネルギーの使い方の最適化であり、「Nature Remo」はあくまでも始まりです。ここがまず、他のIoTプロダクトを出している会社との、大きな違いだと思います。
それを実現するために、最も力を入れてるのが、ユーザー体験へのこだわりです。機能として同じことができる商品は他にもあっても、ユーザー体験は商品によってまったく異なります。「Nature Remo」は、デザイン、使いやすさ、安定性に、徹底的にこだわって開発しています。
・人気の理由は徹底したこだわりとジャストな販売タイミング
Q3:家電量販店では、品薄状態が続いたほど人気だそうですが、ここまでの反響を得た理由は、どこにあると思われますか。1つは前述の通り、ユーザー体験に対するこだわりが、皆さまに届いたからだと思います。弊社ではユーザーからのフィードバックに耳を傾けて、商品の改善・改良というサイクルを徹底しています。まだまだご要望に応えきれていないところがたくさんあるのですが、着実に1つずつ、形にしていきたいと思っております。
もう1つは、タイミング。「Nature Remo」の発売とほぼ同じタイミングで、大手企業からスマートスピーカーが発売されました。しかし、これらのスピーカーは、単体だと家電の操作ができません。だからこそ、手軽に既存の家電を使いつつ、声で操作したいと望むユーザーが、「Nature Remo」を手にしてくれたのではないでしょうか。
Q4:今回新たに資金調達をしたのは、なぜでしょうか。今後の展開と併せて、教えてください。
前述のとおり、「Nature Remo」の販売は、あくまでも今後の事業展開の起点でしかありません。現時点では、よりたくさんの方に「Nature Remo」をお使いいただけること、製品としてより使いやすいものに仕上げていくことに、注力しております。
(それが落ち着いたら)今後は、本来の目標である分散化電源の普及を、IoTを軸に実現していきたい、と思っております。
無事に品薄状態も解消された本品。ビックカメラ、コジマなどの家電量販の他、アマゾンでも注文可能だ。価格は、税別1万3000円。人生初のIoT製品として、検討してみてはいかがだろうか。(取材・文 乾 雅美)
Nature Remo