核融合から発生するプラズマによる、この発電技術の開発には、Googleや日本の核融合科学研究所などでも取り組んでおり、最も大規模なものはフランスで進められてる国際共同研究プロジェクト「ITER」だ。
このほど、MITと共同で核融合発電技術を開発する、Commonwealth Fusion Systems(CFS)が、5000万ドル(約53億2000万円)の資金調達を成功させ、開発を加速する旨を示した。
最速で核融合発電所の建設を実現し、核融合エネルギーの迅速な商用化と産業確立を目指す、MITのプロジェクト「SPARC」についてご紹介する。
・最新の超電導磁石により従来の10倍以上のエネルギー生成を可能に
SPARCは、未来の核融合炉として最有力候補となっていてITERなどでも採用されてる「トカマク型」を進化させるものだ。
太陽のエネルギー生成プロセスである核融合が利用できれば、膨大な量のエネルギーを放出できる。
ただ、超温度下のプラズマによりエネルギーを生成するため、プラズマを磁場に閉じ込めてドーナツ型の装置に接触しないようにして装置の溶融を避ける必要がある。
SPARCでは、最近開発された超伝導素材からつくった磁石を活用。将来的には既存の核融合実験の約4倍の磁場を生成し、従来のトカマク型の核融合炉の10倍以上のエネルギーの生成を可能にする。
・コンパクトな設計で核融合発電の普及を促す
SPARCでは核融合発電所のプロトタイプとして、小規模都市で使用される電力と同じくらいの電力、100MWの核融合エネルギーを生成できるコンパクトな装置を構築しようとしている。
迅速かつ安全に研究を進め、成功すれば核融合炉の大きさを2倍にして、15年以内に200MWが発電できる核融合発電所(現在稼働している発電所と同規模)を設立する計画だ。
発電所のコンパクトな設計は、冷却などあらゆるシステムが縮小されて、設計や施工にかかるコストと時間が大幅に削減される。
運用組織もコンパクトにできるため、研究機関や民間プレイヤーが核融合発電に参入するハードルを下げるだろう。
こうしたSPARCでの研究開発は、ITERのものを補完すると期待されていて、クリーンで安全な核融合エネルギーの普及に寄与すると考えられる。
参照元:MIT and newly formed company launch novel approach to fusion power/MIT News