それだけではない。普段私たちが口にする食べ物(果物、野菜、ナッツなど)の約70パーセントは、ミツバチの受粉によって生み出されている。ミツバチの救済は人類の救済であると言っても、過言ではない。
・3Dプリントされたロボット花で人工受粉
この問題に着目したのが、ブリスベンを拠点に活動するアーティスト、Michael Candy氏だ。同氏が提案するのは、3Dプリントされたロボット花による人工受粉システム「Synthetic Polleniser」。これを利用すれば、減少する蜂の個体数を増やす可能性があるという。
少しキッチュな感じもする、黄色い人工花。先端には、合成雄しべと3Dプリントの花弁が施してある。これを、本物の植物と一緒に並べることで、ミツバチにリアルな花だと錯覚させる。中には予め、花の蜜とミツバチの巣からかき集めた花粉を注入。モーターとチューブを介して、蜜の溶液を花の表面に押し付け、ハチを引き寄せる。その後、ハチの体の毛が雄しべの先に付けば、無事受粉完了だ。
・生態系保護の鍵となるか注目
現段階において「Synthetic Polleniser」は、個人の概念的なプロジェクトに過ぎない。しかし、実現すれば、環境に優しい手段で生態系の保護が可能となる。Candy氏は今後、花畑にデバイスを設置し、実験に入る予定。ぜひとも成功し、人間工学のすごさを、世間に知らしめてほしいところ。
Synthetic Polleniser