Googleがトンネル掘削のスタートアップ「HyperSciences」に目をつけていることについて、IEEE Spectrumの記事で推測されているが、これは以前、同スタートアップのCEO、Mark Russell氏がIEEE SpectrumにGoogleとの協業の可能性をほのめかしたことによるもの。
HyperSciencesは現時点でGoogleによる買収を否定しているようだが、地熱エネルギーシステム開発にも手を出しているGoogleが、今後、HyperSciencesの持つ超音速(音速の5倍以上のスピード)システムの技術を活用する可能性はあるだろう。
・1/5のコスト、2.5倍の速さでトンネルを掘削
HyperSciencesは、ドリルの前方からコンクリートによる発射体を秒速2km以上で発射する斬新な掘削システムを開発している。発射体は数秒おきに発射され、岩面を崩壊させていく。
地表から7km掘り下げるの同社のシステムは、既存のシステムの10倍の深さで井戸を掘ることができ、世界中のあらゆる場所で地熱エネルギーの利用を可能にするとのこと。
またHyperSciencesは、同じ超音速発射の技術を使用してトンネル採掘システムを開発している。同社のトンネル採掘技術は、既存のものに比べて1/5のコスト、2.5倍の速さでトンネルを掘削できるようだ。
・Googleは宇宙開発でも超音速技術を模索
Googleの親会社Alphabetは、地熱エネルギーにも関心を示しており、昨年7月には、研究部門のXから地熱冷暖房システムを開発するDandelionを輩出している。
またGoogleは1月に、NASAのエイムズ研究センターと宇宙開発に関する契約を締結し、NASAの持つデータベースを使って、様々な形状の発射体が超音速で移動する際の軌道をシミュレートするよう依頼している。
Googleによるトンネル掘削の計画がなかったとしても、宇宙開発や地熱エネルギーシステムで超音速技術を利用する可能性は考えられ、今後の動きに注目していきたい。
参照元:Is Google Going Underground With Hypersonic Tech?/IEEE Spectrum