これは、Bitcoinを始めとする仮想通貨の投機やマネーロンダリング用途での利用が行き過ぎている現状を重く捉えられている表で、仮想通貨の負の側面は、ブロックチェーン技術の普及を阻害する要因にもなっている。
そのことにいち早く気づいたUberの共同設立者ギャレット・キャンプは、使いやすく健全な仮想通貨を作ろうと5か月前から構想を描いてきた。
分散型システムの堅牢性・セキュリティと、中央集権型システムの効率性・統治性とを併せ持つ「Eco」のシステムとはどのようなものだろうか。
・大学や研究機関が繋がって協力できるエコシステムを形成
玉石混交の仮想通貨が日々無数に登場し、市場は真価とは別の要素から乱高下を繰り返している状況は、決済手段としての仮想通貨の機能を無効にすると同時に、エコシステムの構築にとっても大きな弊害だ。
新しい仮想通貨は、価格が安定していて手数料が安く、決済が即座に行えるものでなければならない。これは、ボラリティ(変動性)が高く価格が不安定で、トランザクション(処理)の増加により手数料が高騰、送金にも時間を要するBitcoinとは真逆の性質だ。
さらに重要なのはコンセプトで、Ecoのシステムは、多くの大学、科学者、研究機関がインターネットのように繋がり、互いの協力が得られるようなエコシステムを形成することを目的としている。
・ネットワーク全体が報酬を得る構造
Bitcoinといった仮想通貨は、ネットワークに繋がっている匿名の端末(ノード)がブロックの承認作業をおこない報酬を得るが、Ecoのブロックチェーンシステムでは、検証済みのノードで動作するように設計されている。
Ecoのインセンティブ構造もBitcoinのものとは違っていて、報酬はブロックの承認毎に、ネットワーク全体のノードとユーザーに配布される。
このインセンティブ構造では、マイナーが過剰なエネルギーリソースを投資して儲けることができないため、消費エネルギーの削減にも貢献できるものだ。
こうした設計実現のため、キャンプは初期ノードとして世界の上位5%に入る大学や研究機関、数千機関の参加を促している。
・トークンは信頼された参加者に配布
「より多くの人々が参加するほど、より健全なシステムの運営が成り立つ」というキャンプの考えから、Ecoの流通にはICOなどとは別の方法が企てられている。
Ecoは、数年間かけて合計1兆トークンが生成される計画で、10億人のユーザーに供給量の半分を初期配布する予定だ。そのうちわけとしては、大学や研究機関の検証済みノードにトークンの1/5、キャンプが設立を発表したEco財団に1/10、プロジェクトの顧問や貢献者に1/10 、戦略的パートナーに1/10、となっている。
プロジェクトはまだ初期段階で、今年後半には試験的なネットワークでの運用開始を目指すとのことで、今後の動向を見守りたい。
参照元:Uber Creator Invents New Cryptocurrency—And Wants Your Help Making It Reality/FORTUNE
Eco