そうした課題を解決するために生まれたのが、「Ella」。充電用ICカードを必要とせず、認証用アプリで即日利用可能。ブロックチェーンに接続し、設置者独自の認証課金基盤の構築もできる、多機能型EV用普通充電器だ。
開発元は、2014年設立のジゴワッツ。代表取締役の柴田 知輝(しばた ともき)氏に、話を聞いた。
・場所を取らずに低コストで設置可能
Q1:まずは、このような製品を開発したきっかけから、お聞かせください。
EV普及のため、メーカー主導で急速充電器の設置が進められております。しかし、急速充電器は30分で充電完了する一方、充電終了後は、速やかな移動が求められます。つまり多くの場合、その場で30分、待たなければなりません。従って、この充電方式では、ガソリン車より不便な車になってしまう、と思いました。
EVがガソリン車より便利な存在になるためには、駐車中、常に充電状態にあり、用事を済ませている間に、次の目的地までの充電が完了していることが理想です。そのためにも、できるだけ安価で、かつ小型のEV普通充電器の開発が必要だ、と考えました。
Q2:「Ella」を購入することで、消費者はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
「Ella」は、他の充電器に比べて工事コストが安く、小型なため、同じ場所にたくさん設置することができます。商業施設や旅館などに設置されれば、帰りの電力を心配することなく、用事を済ませられます。
認証課金設定をする場合でも、特別な認証カード等を配付する必要はありません。スマートフォンアプリで対応しますので、手間いらずです。さらに、イーサリアムコントラクトの参照ができるので、独自トークンによる認証や、サーバーレス認証も可能です。
・資金調達しながら設置に励む
Q3:開発にあたって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。小型かつ安価に製造するため、安全性安定性を犠牲にすることなく、部品点数をいかに削減するかに注力しました。また、部品調達や製造部品の流通経路も、無駄がないように、考慮しています。Q4:9月の出荷開始までに、どのようなステップを踏むのでしょうか。今後の展開について、教えてください。
各種試験と、量産数量の決定が必要です。今後は弊社グループで資金調達を行い、充電収入が見込めるところへ、弊社の費用負担で設置していくことを検討しています。
「Ella」は現在、ウェブサイトで注文受け付け中。希望小売価格は、12万1000円。出荷は、9月21日を予定している。EVライフが今より身近になるためにも、ぜひ普及してもらいたい。(取材・文 乾 雅美)
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