2018年2月から始まったこの3カ年プロジェクトには、洋上再生可能エネルギー発電に強みを持つスタートアップ企業「Oceans of Energy」のほか、エネルギー研究センター(ECN)、ユトレヒト大学ら、オランダの6つの企業および研究機関が参加している。
・海上に大規模な太陽光発電所を建設
陸地面積が限られているオランダでは、大規模な太陽光発電所を建設するための敷地を確保することが難しい。
海上に太陽光発電所を建設できれば、陸上のスペースを使う必要がないのはもちろん、周囲に遮蔽物がないため、海面に降り注ぐ太陽光を最大限活用できるのが利点だ。
また、海水の冷却効果によって、ソーラーパネルの発電効率を、陸上に比べて約15%向上させることができる。
ただし、風や波といった海上の自然現象が、太陽光発電にどのような影響をもたらすのかは定かでない。
10メートル程度の波によって、ソーラーパネルが水面下に潜ってしまったり、多少のぐらつきが生じるのは避けられず、ソーラーパネルの角度が徐々に変わることでどのような影響があるのかについては、さらなる解明が必要だ。
ユトレヒト大学では、北海に面した南ホラント州スヘフェニンゲンから15キロメートルの海上に発電システムのプロトタイプを設置し、エネルギー生産量などの調査を実施する計画だという。
・海に囲まれた島国の日本でも導入可能!?
大規模な洋上太陽光発電所は、オランダのみならず、離島など、陸地面積が限られている他の国や地域でも、ニーズが見込まれている。
海に囲まれた島国である日本でも、再生可能エネルギーへのシフトに向けて、注目に値するプロジェクトといえるだろう。(文 松岡由希子)
Universiteit Utrecht