ハーバード大のマイクロロボティクス・ラボの開発する「HAMR」は、カメラやセンサーなどを追加できる拡張性を備え、障害物や床面の状態を考慮した設計になっていることから、多様な現実環境に適応できるマイクロボットとなるだろう。
以前のバージョンでは、電力供給を外部電源からおこなっており、そのため常に長いコードをつなげておく必要があった。今回の改良により小さな積載バッテリーでの稼働が可能となり、動きも3倍以上速くなっている。
ゴキブリにインスパイアされて開発されたHAMRの新バージョンについてみていこう。
・細かい足回りの制御で昆虫のような動き
HAMR-Fでは、電力供給の仕組みを再設計した結果、単位質量あたりの出力が以前のバージョンに比べて著しく高まった。大きな電源が必要なくなったことから動きの制約が減少し、非常に高速に動けるようになっている。
ジャイロセンサーにより歩行の角度補正をおこなうなど、8本の足回りの制御を細やかなに施したおかげで、まるでゴキブリのような動きを体現している。
一瞬だが後ろ脚2本のみによる歩行もでき、将来的にはジャンプして着地後、2本脚で走る動きを身につける予定だ。
・マイクロなバッテリーで効率よく動く
HAMR-Fは、全長4.5cmで重さはわずか2.8gで、最大17.2cm/秒で移動する。普段備えている8mAhのリチウム電池以外にも、25mAhのバッテリーも積むことができ、その場合約4分半の歩行が可能になる。
最高速度を出した際のHAMR-FのCoT(移動効率の指標。低いほど効率的:cost of transport )は約84となっている。現段階では、ゴキブリのCoT約16よりも高い数値だが、スピードと駆動システムを調整を施すことで、CoTをゴキブリよりも低く抑えられるようになるとのこと。
その根拠は、HAMR-Fの優れたエネルギー変換システムにあり、これは生物の筋肉よりも出力密度や効率が高いものだ。
改良を続ければ、将来的には移動距離や連続稼働時間をさら伸ばしたり、太陽電池などの代替電源を利用したり…といったことも可能になり、ますます実用に近づくだろう。
参照元:You Can't Touch Harvard's New Ambulatory MicroRobot/IEEE SPECTRUM
https://youtu.be/eH79RvUStmo