それなら、ロボット自身が別の生態系を作ればいいのではないか。大胆な発想を掲げたのは、バルセロナを拠点に活動するテクノロジーデザインスタジオNoumena。彼らが提案するのは、ロボットたちが自給自足で生活する「ロボット生息地」。人間の持つ資源と競合しないよう、人類の周囲に空間を見つけることで、人との共生関係を築こうというものだ。
・カメ型ロボットから始まる新たな生態系
この「ロボット生息地」の建設地として候補に上がっているのが、エストニアの無人島で、風光明媚なPaljassaare 半島。天然資源豊富なこの島で、新たな文明の台頭を試みる。その最初の一歩となるのが、生態系を作るのに必要なロボットの配置。チームが想定しているのは、カメ型のロボットだ。
皮膚(甲羅)は、複数の3Dプリントシェル。この中にコントロールシステムを内蔵する。ロボットの稼働は、キネクト・モーション・センス入力デバイスを通して、送信される仕組みだ。甲羅の中央に配置した赤い光が、キネクトによって読み取られると、コンピューターがその位置を検出。的確な指示が、処理スクリプトに返送されるようになっている。
・実現不可能ではない話!?
こうした活動を繰り返しながら、ロボットたちはやがて、新種の人工知能へと進化していく。すべての動物がそうであったように、ロボットも異なる種へ向かって、変化を繰り返す。その過程で、それぞれが特定の作業を実行する必要に迫られるだろう。環境に適応するため、探索し続け、やがて自らの力でインプットと指示を送信するようになる。
新時代の生命学とも捉えられる壮大な計画だが、これまでロボットが歩んできた道のりを考えれば、まったく不可能ではない。人類と共存する新種の誕生。そう遠くない未来に、実現するかも。
Noumena