ただ、自分自身が抱いている感覚と客観的に捉えたパフォーマンスが異なっていることも少なくない。自身や対戦相手の特徴を客観的な視点で捉えるための手法が″スポーツ分析″だが、それには多くの手間や時間、コストをかけるケースがほとんど。
そうした中、株式会社WaterFowlではスポーツ分析システム「Spolyzer」を開発し、テニス・卓球・バドミントンのβ版を2月末にリリースする。「スタッフの負担を軽減し、最短時間で、低コスト」のスポーツ分析をおこなえる点が大きな魅力だ。その開発のきっかけや具体的な分析ポイントなどを同社代表取締役CEO・池田吉来氏にうかがった。
・負担を軽減した「時間軸のイノベーション」
Q1.「Spolyzer」開発の″きっかけ″をお聞かせください。
開発の原体験は選手時代(バドミントン)の面倒臭い分析作業にありました。練習が終わった後、全ての試合の動画を見返して毎ラリー「どこに、なんの球種」で決められたかをエクセルに記入して、動画は同じような原因で決められいてるラリーをトリミングして編集して比較していました。
ただでさえ練習で疲れている分、結構大変でした。私と同じように「分析が面倒臭い」と思っている人や「分析してみたいけど分からない」という人は必ずいると思い、Spolyzerの着想に至りました。
Q2.具体的にどんな分析をおこなえるのでしょうか。
特徴は大きく分けて2つです。スコア情報を元にしたスタッツ分析(統計情報的な分析)と動画で同じ原因等を比較する動作分析が出来ます。Spolyzerの最大の魅力は「分析にかかる時間軸のイノベーション」です。
これまでのスポーツ分析ソフトは試合終了後にスポーツアナリストが試合を見返して複雑な分析を行い、最終的に簡易的なレポートでチームに共有するので分析作業に「試合時間×2」以上の時間がかかってしまっています。Spolyzerでは試合が終わったその瞬間には分析結果をアウトプットすることが出来ます。
・創り出すのは、新しい″スポーツの当たり前″
Q3.プロに加えアマチュア層への導入も視野に入れているとのことですが、どのような活用や期待感をお持ちでしょうか。
アマチュアの指導環境はまだまだ感覚的な正解を見つける為の練習に頼っていると思います。Spolyzerを使用することで、より論理的にどこが弱点なのか、どうすれば勝ちパターンを有効に繰り出せるのかをチーム全体で客観的に考察と議論することができます。
アマチュアチームで指導者に恵まれていない環境でも、強豪校と互角の戦いが出来るような新しいスポーツの当たり前を創っていきたいと思います。
Q4.今後の展開を教えてください。
2軸あります。1つは研究領域としてスタッツ入力作業なくスコア分析出来るように画像認証の技術を開拓していきたいと思っています。2つ目はサービスの機能拡充です。まだまだ「分析=難しそうなこと」というイメージが一人歩きしていると思うので、より分析結果を把握し、選手自身の成長を目に見えて分かるような機能を用意していきたいと思っています。
まずは関東圏内のクラブチームや部活動を対象に約30チームで運用し、プロダクトの改善点を修正していく予定という同社。さらに、β版の運用を受け入れ可能なチームを募集している。アスリートの可能性は一体、どこまで広がるのか。「Spolyzer」の今後の動向が楽しみだ。
(取材・文 onokeita)
WaterFowl