そんなチャットツールにも、弱点はある。チーム内で話し合った内容を、ログとして残せないところだ。面白いアイディアが出たとしても、チャットを重ねるうち、どんどん流れていってしまう。もちろん、会話をたどっていけば、そのとき話し合った内容を探し当てることはできるだろう。しかし、これでは時間がかかる上、本来の目的から大きく外れてしまうことになる。
そうした課題を解決したのが、今回ご紹介する「Stock」。情報の蓄積とタスク管理が、1つのツール内で完結するというもの。複雑な機能は、一切なし。チャット感覚でアイディアや議事録を蓄積するので、IT初心者でも抵抗なく利用できる。
開発元は、2014年創業のリンクライブ。代表取締役社長の澤村 大輔(さわむら だいすけ)氏に、詳しい話を聞いた。
・ITに詳しくない年齢層も説明いらずで使いこなせる!
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
私たち自身、「チーム内の情報を、簡単に残せる場所がない」点に、非常に困っていたことが、きっかけです。もともとチーム内の情報共有には、チャットツールを使っていましたが、そうするとすべての情報が、ことごとく流れていってしまいます。かといって、チーム内の情報を残すのに、いちいちファイル作成するのは面倒だし、現実的ではありません。
「チャットだと流れていってしまい、ファイルだと面倒」という状況。それを解決するために開発したのが、「Stock」です。
Q2:「Stock」とは、どんなサービスなのでしょうか。従来のチャットツールとの違いも含めて、教えてください。
「Stock」はその名のとおり、「最も簡単にチーム内の情報を残せるツール」です。とにかく簡単で、導入先の学習塾ではITに詳しくない65歳の方でも、何の説明もなしに使いこなしています。
従来のチャットツールとの一番の違いは、情報を簡単に残せる上、後から振り返ることができるという点です。例えば、「顧客とのミーティング議事録」など、振り返りたい情報を、チーム内で共有したいとします。この場合は、流れていってしまうチャットツールではなく、しっかりと情報を残せる「Stock」が最適です。
・決してぶれない信念を胸に進む
Q3:ベータ版ローンチから3か月以上経ちました。ユーザー(企業)からの反響は、いかがなものでしょうか。
9月12日のベータ版ローンチから、3か月半が経過しましたが、すでに1300社のチームが登録するという、非常に大きな反響をいただいています。業種も、税理士事務所、学習塾、内装工事の会社、歯医者さん、ITスタートアップ企業にAIの研究チームなど、多岐にわたります。
コメントとして多いのは、「こんなに簡単に情報ストックできるツールは見たことがない」「メンバー全員、誰もが使い方に迷わず、驚愕した」というものです。「とにかく簡単に情報を残せる」という点を、大きく評価していただいております。
Q4:最後に、今後の展開について教えてください。
今後も、「誰もが迷わずシンプルに使える」というサービスの理念に基づき、プロダクトをブラッシュアップしていきたいと思います。
今後検討している方針の1つには、「API機能の強化」があります。例えば、問い合わせメールがきたら、自動的に「Stock」へ蓄積される、他チャットツールから簡単に情報をストックできるといった機能を、想定しています。
繰り返しになりますが、「Stock」が最も大事にしているのは、「誰もが迷わずシンプルに使える」ということです。そこは、今後もしっかりと、守っていきたいと思っています。
(取材・文 乾 雅美)
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