今回ご紹介するのは、ドイツの総合ナノサイエンス研究所(Institute for Integrative Nanosciences:IIN)の研究チームが、子宮頸ガン治療のために開発する数ミクロンの精子ロボットだ。
同研究チームは以前にも男性の不妊治療や検査に同様の3Dプリント技術を活用しており、今回の発表された研究はこれを応用したものとなる。以下、精子ロボットの詳細をご覧いただきたい。
・ヒトや動物の精子と3Dプリント部品のハイブリッドロボット
研究チームの開発する精子ロボットは、生物の精子と3Dプリントしたプラスチック製の構造物を結合したもので、精子の持つ女性の生殖管を泳ぎ卵細胞と融合する性質を利用して、ガン治療薬を患部に送り届けるものだ。
構造物の表面には鉄がコーディングしてあるので、磁気を使って精子ロボットをターゲットに誘導することができる。
精子ロボットがターゲットに到達すると構造物が備えるアームが自動で屈曲して精子は解放され、薬を届けるという役目を終えた構造物は自然に溶解する仕組みとなっている。
・さまざまな婦人科ガンの治療が目標
研究段階の精子ロボットを実用化するに際しては、今後いくつかの課題をクリアしていく必要があるようだ。現段階で精子ロボットは、単一のターゲットに薬を送り届ける目的達成のために設計されている。
より効率的に治療薬を輸送するためには、一度に数回の誘導ができて、子宮頸ガンだけでなく複数のタイプの婦人科ガンに対応することが望ましい。正確な精子ロボットの誘導のためには、リアルタイムでのモニタリングにも対応する必要がある。
研究チームは今後、動物実験に移行し研究を進めていく考えを示しており、早期実用化が期待される。
参照元:3D Printed Spermbots Used as Drug Delivery Systems to Fight Cervical Cancer/3D Print.com