山での遭難や自然災害時の捜索活動に役立つソリューションとして注目されている。
・電波の届かないエリアでもユーザーの位置を発信
このスマホアプリは、モバイルデータ通信が利用できなくても、WiFi信号を発することで、“SOS”を数キロメートル圏内に発信。
ユーザーは、電波の届かない場所で事故などに遭った際、このスマホアプリを起動させるだけで、30時間以上、スマートフォンからWiFi信号を定期的に発することができる。
WiFi信号を通じて、ユーザーの位置情報だけでなく、「怪我をしています」、「遭難しました」といった短いテキストメッセージを伝えることも可能だ。
研究チームでは、WiFi信号を検知するための専用ポータブル受信装置も開発した。
500グラム程度と軽量なこの装置には小型アンテナが装着され、救助隊員のスマートフォンと接続。
救助隊員は、スマートフォンを通じて、WiFi信号が検知されたことがわかり、捜索や救助にあたることができる。
・多くの人命を救う画期的なソリューション
これらスマホアプリと専用ポータブル受信装置の試作品は2016年初めに製作され、すでに、スペイン治安警備隊の山岳救助隊や海難救助隊などでフィールド実験を実施。
3キロメートル圏内にある専用ポータブル受信装置が行方不明者のスマートフォンから発するWiFi信号を検知することに成功している。
電波の届かないエリアでの捜索や救助には、時間と人的リソースが必要。
約600ユーロ(約8万1000円)程度のコストでまかなうことができるこのソリューションは、捜索や救助の任務を効率化させ、より多くの人々の命を救うことにつながりそうだ。(文 松岡由希子)
Universidad de Alicante