・特殊ナノ粒子を埋め込み、植物を発光させる
この研究プロジェクトでは、ホタルなどの生物発光にならい、発光反応を触媒する酵素「ルシフェラーゼ」と、発光のもととなる発光基質「ルシフェリン」、ルシフェラーゼの活動を抑制する反応副産物を除去して発光プロセスを促す「コエンザイムA」からなる特殊なナノ粒子を溶液化。
クレソンの葉にこの溶液を浸した後、加圧し、気孔を通じてナノ粒子を葉に行き渡らせたところ、最長3時間30分、発光した。
この仕組みは、あらゆる植物に適用できるとみられており、現時点で、クレソンのほか、ケール、ルッコラ、ほうれん草でも発光させることに成功。
また、現時点では、10センチのクレソンが発する光量は、読書に必要な光の約1000分の1にとどまっているが、研究プロジェクトでは、ナノ粒子の濃度や放出速度を最適化することにより、発光量を高め、発光時間を長くできるとしている。
・発光する街路樹が街を照らす日も近い!?
植物は、環境への適応力や自己修復力を有することから、発光の仕組みを組み込むことにより“生きた照明”を創り出すことができるとの期待が寄せられている。
たとえば、街路樹を発光させて街路灯にしたり、室内の観葉植物を照明としても活用するといったことが考えられるだろう。
研究チームでは、スプレー方式やペイント方式など、この特殊なナノ粒子を植物に装着させる手法についても、今後、さらなる研究をすすめていく方針だ。(文 松岡由希子)
MIT News