・折り紙から着想し、画期的な人工筋肉が誕生
人工筋肉とは、入力されたエネルギーを物理的な運動へと変換する機構、すなわちアクチュエーター(作動装置)の一つで、伸縮性を有する柔らかい素材でつくられ、ソフトロボットを人間のように柔軟に動作させるために用いられる。
このほど開発された人工筋肉は、金属コイルやプラスチック板を折り紙のように折り畳んだ圧縮可能な“骨格”を、柔軟性のある素材でできた“皮膚”で覆い、その隙間を流体媒体で満たすというシンプルな構造が特徴だ。
流体の量が変化すると、圧力の変化によって張力が生じ、他のエネルギーや人力を要することなく、人工筋肉が動く仕組み。
共同研究チームの実験では、この人工筋肉は、元の長さの10分の1程度まで収縮し、2.6グラムの自重に対して、その1000倍を超える3キログラムの物体を持ち上げることに成功したという。
・医療から物流、深海探査まで、幅広い応用可能性に期待
共同研究チームによると、この人工筋肉は、ミリメートル単位から1メートルまで、様々な大きさに展開することが可能。
シンプルな構造と仕組みで圧倒的なコストパフォーマンスを実現したこの人工筋肉は、医療デバイスや物流ロボット、深海での遠隔操縦ロボットなど、様々な分野への応用が期待されている。(文 松岡由希子)
MIT CSAIL / Wyss Institute