VRヘッドセットのHTC Viveと同社の開発するグローブを装着して、そこに映し出されるものを触ると、重さや温度、手ざわりなど特性に応じた触覚が得られる。
この「HaptX Glove」、現時点では家庭で使うにはゴツすぎて、まだまだプロトタイプの段階だが、技術が成熟すればエンターテイメントのみならず、製造、医療をはじめとするあらゆる産業にインパクトを与えるだろう。
・雨の一粒一粒まで感じられるリアルさ
HaptX Gloveで採用されている触覚技術では、仮想オブジェクトのサイズや重量、温度や手にぶつかった感触が得られて、あたかもVR空間にある物体を実際に触っているように感じられる。
その仕組みを簡単に説明すると、グローブ上にある100点以上の小さな気泡が、仮想オブジェクトの特徴に応じて膨らみ、動きに合わせて膨らみが移動することでリアルな触覚フィードバックが得られるというもの。
雨の一粒一粒や穀物、クモ、手のひらに乗るキツネなどに触れられ、それぞれの特徴が再現されるようだ。
・トレーニングでの活用にも焦点
触覚の再現というと、ゲームなどエンターテイメント分野での活用がすぐに思いつくだろうが、HaptXが想定するビジネス領域はこれだけにとどまらない。
今後の展開において、同社が焦点を当てている領域のひとつに「トレーニング」がある。
VRを活用したトレーニングは学習速度を上げ、理解度を深めるが、触覚をVR空間に加えることで、物の処理のシミュレーションが可能になる。
例えば軍事産業。HaptX Gloveを導入することで、現在使用されている軍事訓練用シミュレータよりもコストが抑えられるほか、ソフトの入れ替え、持ち運びなどの点でもメリットが大きいと考えられ、広く採用される可能性があるだろう。
・将来的には全身スーツも
手術や航空機を保守、車を設計などあらゆる産業のトレーニングで触覚再現が有用だと考えられ、同社の技術への注目が集まるのは当然だ。
現在同社は、グローブの開発を進め量産化を目指している段階だが、ゆくゆくは全身用の触覚再現デバイスの開発を目指す。
技術の開発が順調に進めば、VR技術の活用範囲がいっきに拡大すると見込まれ、HaptXはゲームチェンジャーになり得るだろう。
参照:HaptX reveals high-tech haptic gloves that let you feel and touch in virtual reality/GeekWire