・バイオ太陽電池をインクジェットプリンターで印刷
藍色細菌とは、光合成によって酸素を生み出す“酸素発生型光合成細菌”のひとつで、日中、発電するだけでなく、夜間も、日光のもとで生成された分子から発電し続けるのが特徴だ。
藍色細菌のような光合成細菌を使って光を電力に変換する「バイオ太陽電池(BPV)」は、代替的な再生可能エネルギーとして研究がすすめられているが、コスト高で、寿命が比較的短く、発電出力が低いのが難点とされていた。
そこで、共同研究チームでは、市販のインクジェットプリンターを使って、導電性のあるカーボンナノチューブを紙に印刷し、さらに、藍色細菌をカーボンナノチューブの上にジグザグに出力して、手の平サイズの超薄型バイオ太陽電池をつくりだした。
藍色細菌は、紙に印刷された後も光合成を行い、100時間にわたって電力エネルギーを生成したという。
・バイオ太陽電池の普及を後押しする研究成果
この共同研究チームの成果が示すとおり、市販のインクジェットプリンターでバイオ太陽電池をつくることができれば、従来に比べて、製作コストを大幅に削減することができる。
発電出力が低いという特性をかんがみ、とりわけ、環境センサーや医療用センサーなど、消費電力が低いデバイスへの応用が期待できそうだ。
共同研究チームでは、今回の研究成果をもとに、今後、超薄型バイオ太陽電池をA4サイズにまで大型化する試みに着手する方針だという。(文 松岡由希子)
Imperial College London