こうした、真実に触れられるのが一部の専門家だけという不均衡な状況に疑問を感じ、データを誰もが扱えるものにしようと考えた人物がいる。
アル・ジャジーラでのプロデューサー経験を持ち、データジャーナリストでもあるFarhan Mustafa氏は、データを民主化すべく「Grafiti」を立ち上げた。
GrafitiはデータをInstagramで写真をシェアるような手軽さで、リアルタイムに伝えることのできるアプリの開発している。検証済みのデータセットを簡単に調べられ、チャートを作成したり、SNSでシェアしたりできるアプリ、Grafitiについて見ていこう。
・データドリブンなストーリー生成を手軽に
Mustafa氏は、アル・ジャジーラでの現場経験から、データをストーリーに組み込んでものごとを伝えることの重要性および難しさを痛感している。
Grafitiでは、データをチャート化することで、データドリブンなストーリー生成の敷居を劇的に下げるのが狙いだ。
アプリにアクセスすると、Googleニュースラボなどを情報源とする検証済みデータセットがズラリと並んでおり、これらのアーカイブを検索できる。ここにあるデータは、チャートツールで視覚化して即座にシェアできる。グラフのスタイルをユーザー自身で変更することも可能だ。
・データの収集とクリーンアップをシンプルに
Grafitiはニュース機関にとっても重要な位置地付けになるだろう。とりわけ、小規模で予算やマンパワーに余裕がない、ローカル誌などのニュース機関にとっては、想いはあってもデータドリブンなニュースを扱うのは至難の業だ。
9月に発表されたGoogleニュースラボのレポートによれば、データドリブンなニュースの74%は、制作に丸1日以上かかっているとのこと。Grafitiでは、こういったニュース制作に要する時間を短縮するように設計されている。
データドリブンなニュース制作にあたっては、データの収集とクリーンアップに多くの労力を費やすことを余儀なくされる。Grafitiでは、このプロセスをシンプルにすることで、データ解析スキルを持ち合わせていない記者も、レポートにデータを組み込むことが容易になる。
・個人にとってもデータからの恩恵拡大を目指す
Grafitiはエコノミストやファイナンシャル・タイムズ、トムソン・ロイターなどの大手ニュース機関と、ニュース制作および報道のプロセスにGrafitiを組み込む方法を検討中だ。また、草の根組織に重要な地域情報発信を求められるユニセフに関してもGrafitiを活用しているとのこと。
Mustafa氏は、今後より広範囲なデータを使用し、一般の人に対してもデータの理解から得られる恩恵を最大化することを目指しており、誰もが歩行データをトラッキングしている時代にはこれが可能だと確信している。
Grafitiは現在、iOSアプリがダウンロード可能で、手軽に試してみることができる。
参照元:“Instagram for data”: Grafiti wants to make it easier to create and share data visualizations on smartphones/Niemanlab